八ヶ岳南麓山鳥亭の日常を綴ります。
 
2017/07/22 15:03:50|防災
御嶽噴火訴訟
写真(左)裁判所に入る原告団(2017年7月19日)
写真(右)霧ヶ峰から見た御嶽山(2016年12月7日)

2014年9月27日、御嶽山の噴火によって58人の登山者が亡くなり、5名が行方不明となった。現在、長野地方裁判所松本支部で、犠牲者の遺族による国と県を相手取った訴訟が行われている。3月15日、6月14日に第1回、2回の口頭弁論があり、今日(7月19日)に第3回があった。第1回のときは、裁判所に行ったが抽選に外れて傍聴することができなかった。第2回は当選した。一緒に行った連れ合いは外れたが、辞退者が出たので傍聴券をもらう事ができた。どうやら報道関係者がダミーを連れて来ていたらしい。今日は、傍聴を希望する人が少なく、無抽選だった。

新聞の記事によると、傍聴できなかった第1回では、原告遺族2人の意見陳述があったらしい。第2回は、原告側の代理人が国と県に対して質問事項を読み上げた。噴火警戒レベルの規準に関する事と、レベルを1を維持するに当たって気象庁はどんな会議をしたか、火山噴火予知連絡会、および名古屋大学の地震火山研究センターとの連絡はどうであったかなどが問われていた。今日も、原告側からの発言のみだった。前回の質問に対する、原告団の解釈が陳述された。

筆者の聴覚が衰えているのと、法廷自身の音響がよくないのとで、正しく聞き取れたかどうか自信がないのだけど、以下のような要点だったように思う。(報道陣には印刷物が配られていたが、この陳述に関するものかどうかは不明。)
@ 気象庁は警戒レベルの検討段階で、過去の事例を挙げて、火山性地震が1日に50回を超えた場合は警戒レベルを上げるとしているのに、当該事例ではレベルを上げなかった。
A 気象庁は火山性微動が無かったことを、レベルを上げなかった理由に挙げているが、微動が無いからといって噴火が起こらないとは言えない。
B レベルの判定は総合的判断によると注がついているが、ここでいう総合的とは、たとえば噴気量が増すなど、量的な基準が明記されていないことがらについてであり、地震の回数についてではない。
C 気象庁の問い合わせに対する名古屋大学地震火山センターの回答に、シーズンが終わっているから登山者はいないと書かれているが、これは事実誤認であり、この誤認された事実を基にレベルの判断が行われた。
 
この裁判に関して筆者の関心は2つある。

一つ目は、裁判官と言えども火山災害については素人だが、その素人が、専門家を自認する気象庁職員の判断の適否を判断できるか。焦点は、噴火警戒レベルを1のまま据え置いたことの妥当性である。この裁判は民事裁判だから、判決には至らずに和解となる可能性もあるが、判決がもつ社会的意味から言って、和解勧告は避けてほしい。

二つ目は、気象庁の現在の火山観測体制について、司法の場で、なんらかの審議がされるか。気象庁は、火山の周辺に設置した地震計等の装置が得たデータを全国に4カ所ある地域火山監視・警報センターでモニターして、噴火警戒レベルの上げ下げを判断している。火山学者の中には、そのような遠隔地での監視だけで噴火の兆候を捕らえることは難しいと考える人もいる。このような観測体制そのものに、司法は判断を下すことができるか。それは難しいにしても、審議の過程でこの問題が取り挙げられることを期待している。御嶽噴火当日の気象庁担当官だけの問題で終わると、数年後にはまた同じような災害が起こるかもしれない。
 





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