今年は戦後80年、「団塊の世代」といわれる戦後生まれの方が75才以上となり、高齢者の数が増え、寿命を迎えて亡くなる人が年間150万人を超える一方、出生数は増えず社会全体の人口が減少する「多死社会」へ突入したといわれています。
多死社会がもたらす課題として、高齢者の増加と単身世帯の増加により、従来家族が担ってきた看取りや葬送といった家族機能が低下すること。高齢者が増える一方で医療や介護従事者が不足し、看取りの場所や専門職が足りなくなること。身寄りのない高齢者などがサポートを受けられず「孤独死」や「無縁遺骨」の問題が増加すること。火葬場の処理能力が追いつかないなどの社会的インフラへの影響が起こるといったことが懸念されています。
多死社会を迎え、私たちお寺が直面している問題は、後継者がいなくなったお墓の問題です。お墓は「墓地埋葬法」により、お寺が勝手に処分できないことになっています。これから先、お墓の維持が難しいと思われる方は、ぜひお元気なうちに先のことを考えていただきたいと思います。
多死社会の到来は、誰もが少なからず影響を受ける大問題です。他人事ではなく自身の人生設計をしっかり考えたいものです。
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