令和7年9月号の小紙で「なぜ葬儀をするの?」と題して、宗教的見地から葬儀の意義についてのべました。今回は日蓮宗現代宗教研究所から発行された「葬儀読本」を参考にして、社会学的見地からのべてみます。
葬儀式は「社会的な儀礼(通過儀礼)」と呼ばれ、成人式や結婚式もその類です。通過儀礼を行う目的は、「状態が変わったことを本人に自覚させるとともに、社会全体もその変化を認知し、本人と社会との間に新たな関係を作っていく」ことだといいます。
葬儀の場合、亡くなってしまった本人に状態が変わったことを自覚させるには、今までどおりの語りかけでは難しいので、「法華経」という久遠のお釈迦様の言葉で僧侶が引導を渡し「成仏」を語りかけます。同時に遺(のこ)っている方々も、故人の状態が変わったことを認知し、故人と今までどおりの付き合いができなくなるので、両者の間にまったく新たな関係・付き合い方を構築する儀式なのです。
時代の変化とともに地域の縁が薄れ、ビジネスとして増加してきた家族葬、直葬、一日葬などについては、仏教僧として考えさせられることが多々ありますが、この状況は宗教者が葬儀式の意義をきちんと示さなかったことが要因だと反省しています。
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