ニイチェが、「現存在はただ一つの間斷なき既存在である、自己自身を否定し、食ひ盡し、自己自身に矛盾することによつて生きる物である。」Dasein ist nur ein ununterbrochnes Gewesensein , ein Ding,das davon lebt,sich selbst zu verneinen und zu verzehren,sich selbst zu widersprechen. と記してゐるのは、かくの如き消息を傳へるであろう。辯證法は存在の?史性に對する最も根本的な且つ最も包括的な表現である。ところでここに一の原理的な命題がある。ーー存在と存在の根據との間に於ける辯證法的關係は存在そのもののうちには現はれる辯證法的關の基礎である。存在としての?史そのもののうちには辯證法的關係が見出されるのであるが、かやうな辯證法的關係の根抵となつてそれを現出せしめるものは、もともと事實としての?史と存在としている?史との間に於ける辯證法的關係である。これは後の章に於て示されるべき根本命題である、その準備の意味をも含め、今はこれまで述べて來たこととの聯關に於て次のことを記すにとどめよう。 |