いっかくじゅう座は、ケプラーの娘と結婚したドイツの天文学者、バルチウスが、1624年に設定した新しい星座と伝えられています。が、ほんとのところ、バルチウスの新作かどうかは怪しいとされているとのこと。
同じドイツのオルバースやアイドラーらは、バルチウスの設定より60年も前の1564年ごろに「ふたご座と、かに座の南にある別の馬」という言葉がすでに存在していた…、と指摘しているそうです。また、スカリジェは60年前どころか、遥か昔のペルシャの天球儀にも馬の姿が描かれていて、当時のレリーフにも一角獣の姿は刻まれていると述べたとか。
一方、1603年に刊行されたバイエルの星図には、まだいっかくじゅう座の姿は描かれていないと云います。 額に一本の長いツノを生やした馬のような姿が登場するのは、1690年に刊行されたヘベリウスの星図などが最初だとされています。 このことから、バイエルの時代にはまだ、いっかくじゅう座は正式に設定されてなく、それ以降に認められたことが事実のようです。つまり、起源は意外に古いながら、正式な設定は16~17世紀になってからの新しい星座ということです。
いっかくじゅう座には目につくほどの明るい星はありませんが、冬の天の川の中にあることで、有名なバラ星雲をはじめ数多くの散開星雲など、興味深い見どころはたくさんあって天文マニアには撮影にも使われている星域と云えるでしょう。
※参考画像は一角獣座の超新星残骸V838。