さすらう雨のかかし

山梨県甲府市の北部山岳地域において生まれ育って30数年。思想は暗く生活は明るくを信条とするkubozoの何も劇的なことは起こらない(保坂和志の小説のような)日常生活、興味があれば見てください。
 
CATEGORY:演劇

2007/11/11 14:15:31|演劇
解ってたまるか!
いきなり古い話で恐縮ですが今年の5月に劇団四季の「解ってたまるか!」を見に行きました。
辛辣な風刺劇で金嬉老事件をベースにし原作は福田恒存です。福田恒存と言えば進歩的文化人の天敵であり(磯田光一曰く左翼が論争しても勝てない保守知識人)そのニヒリズムすれすれの思想は現在でも有効と思います。
 
筋書きは以下のとおりです。
 
○月×日未明より現在、アメリカ大使館(東京・港区)近くのホテル・ハイクラスに、ライフルを持った男が人質をとって立てこもっている。男の名前は村木明男。人質はホテル宿泊客の男女あわせて12名とみられる。警視庁は捜査本部を設置した(捜査本部長:瀬戸内刑事部長)。

捜査本部の発表によると、村木は昨夜、東京・浅草橋交差点でトラック運転手を、上野駅前で自家用車の運転手を、それぞれ持っていたライフルで射殺。その後、盗んだジャガーでホテル・ハイクラスに乗りつけ、ホテル関係者を脅して最上級の部屋に陣取った模様。人質の中には、同フロアに宿泊中だったドイツ人家族も含まれているという。またその際、村木はダイナマイトが詰まったダンボール箱を部屋へと運び入れさせたと見られる。現場は、東京・港区の閑静な高級住宅街。アメリカ大使館近くのホテルに大量のダイナマイトが持ち込まれているということで、政府関係者も昨夜から緊迫した動きを見せている。

村木の要求は以下のとおり。

自分が射殺したのは酔っ払い運転手。酔っ払い運転は殺人未遂と同様のため、自分の行為は社会的正当防衛である。この殺人の正当性を警察側が認めさえすれば直ちに人質を解放し、1週間のホテル暮らしの後、自ら武装解除し、潔く死んで謝罪する。
調べによると、村木明男は岩手県小浜生まれ。村木が5歳の時に父親が母親と母の愛人とその情婦を殺害し、孤児となった。その後、村の猟師に育てられた村木はライフルの辣腕を有しているが、前科者の息子ということでオリンピックの出場許可を得ることができなかったという経緯がある。

現在のところ、ときおり銃声は聞こえるものの、死傷者は出ていないもよう。捜査本部はひきつづき村木との交渉を続け、突入の機会をねらうものと思われる・・・
人質になった人間や警察、文化人、ジャーナリストの右往左往ぶりがなんとも笑えます。その右往左往の張本人である村木の言動が戦後日本の欺瞞をあぶりだしていく… 劇末に彼が叫ぶ「解ってたまるか!」という台詞は私にとっても痛い言葉です。

 






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