?史の概念は就中發展の概念と最も一般的に且つ最も根源的に結び付いている。このことはジイベル、ドロイセンを始め、ベルンハイム、ベロウに至るまで、殆ど凡ての人々によつて認められ、明らさまに言ひ表はされたところである。種々なる説明の仕方のうちここに一例を擧げてみよう。クセノポルは現象の二つの種類を區別し、一方を「共在的現象」phenomenes coexistantsまたは「反覆的事實」gaits de repetitionと呼び、他方を「繼起的現象」phenomenes successorsと稱し、前者が自然科學の對象であるに對して、歴史學は唯後者にのみ關係する、と説いている。そして彼によれば、自然科學が法則を求める科學であるに反し、?史學の固有なる任務は「段階」seriesを敍述するにある。即ち?史的といはれるものの特殊性は、繼起的な形式をとり、段階をなして發展するところにある、と考へられるのである。ドロイセンはクセノポルに先立つて、この人と殆ど全く同じ思想を述べ、「繼起」Nacheinanderと「並立」Nebeneinanderとをもつて、?史と自然とを區別する最も基本的な表徴と見做した。 |