久々に、『釣り具の小宇宙』の、 カテゴリーで投稿します。
今回、取り上げる釣り具は、『イカ角(ヅノ)』です。 多くのイカは、群れを成して生活していますが、 その群れの中に、このイカ角を投入する事で、 何故かこんな無機質な物に、 抱き付く形で釣れて来ます。
ルアーっちゃあ、ルアーなのですが、 この角単体では、なかなかイカをゲットできません。 勿論、良く釣れる角には傾向があるのですが、 そればっかりにしてしまうと、 何故か急に釣れなくなったりします。 それでは、この不思議な『イカ角』の小宇宙へ、 皆さんをお連れしましょう!!
ところで皆さん、 イカは軟体動物の中の頭足類に分類され、 ツツイカ類と、甲イカ類に、更に区分されるのを、 ご存じでしょうか。
ツツイカの「ツツ」は、「筒」の字を当てますが、 要は筒の形をしたイカの事で、 スルイメイカ・ヤリイカ・アカイカなどは、 名前を聞いた事があると思います。
一方、甲イカ類には、 モンゴウイカ・スミイカ・シリヤケイカなど、 頭に甲羅を持っているイカの仲間を指します。
そして、この甲イカ類には、 余りこのイカ角は使われず、 その代わり、よりルアーに近い「餌木(エギ)」や、 特に底に居るタイプのイカには、 魚などを船のようなオモリの上に縛って使う、 「テンヤ」が、用いられます。
この様に、全てのイカに共通で使う訳でないのが、 イカ角の不思議な使用方法かもしれないですね。
お正月や、めでたい席に欠かせない「スルメイカ」と、 冬場に甘くなる美味しいイカの「ヤリイカ」には、 ほぼ、左上の写真のタイプが使われます。
さて、突然ですが、 イカの脚は何本ですか? と、聞かれたら、どう答えますか?
無難なのは10本―。でしょうね。 タコは8本、イカは10本と覚えるのが一般的です。
が、正確には脚はタコと同じ8本で、 他に2本、食腕と呼ばれる「手」があって、 これを脚と数えれば10本―。と、なるのです。
スルメイカは特にこの蝕腕が長く、 しっかり餌を捕まえる事が出来るため、 イカ角には18㌢の長めの角を使い、
蝕腕の短いヤリイカには、 11㌢の短い角をと、使い分けます。
さて、イカ角を使う場合の仕掛けは、 幹イトにエダスを付けて、 一番下にオモリを付ける「胴突き仕掛け」です。
が、最近は、胴付きではあるものの、 エダスで角をブランコの様に揺らすのではなく、 イカ角を直結して使う場合も増えて来ました。
角が揺れる事でルアー効果を狙う―。 と、云うのには、少し違和感がありますよね。
おそらくイカたちは、 群れで素早く移動する中で、 イカ角の色そのものよりも、 その色に反射する、光の屈折度合いによって、 ルアー効果を得ているのではないかと推測できます。
中には「泡(アワ)入り」と、云って、 角の中に気泡が入っている物もあります。 この泡があることで、光の屈折が変化し、 より釣れるのではないかと云う泡ですが、
これは、元を辿ると、 たまたま気泡が入ってしまった失敗作だった・・・。 と、云うのも面白い事実です。 今は、当然ですが、泡は敢えて入れてあります。
ですから、イカ角の配列パターンは、 その日の天気や潮の色によって、 複数の角を組み合わせる事。そして、 取り込みやすい所の角に、 良く釣れるとされる角を配すと、 釣果が伸びるとされます。
この組み合わせの妙や、 群れの動きに乗じて、 直ぐに仕掛けを投入・回収できる手際の良さが、 イカ釣りの醍醐味とも言えるでしょうか。
一方、右上の写真は、 イカ角ではありますが、『スッテ』と呼ばれ、 使い方も、一般のイカ角とは、若干異なります。
見ての通り小さいですから、 小型のイカに使われるケースが多く、 竿によるアクションで、釣果が伸びたりもします。 また、さほどハリ数を多くせず、 1~2本で、誘いながら釣るイメージです。
マルイカ・ジンドウイカ釣りなどに多く使われ、 フワフワな動きをする「浮きスッテ」と、 オモリが入ってシャープな動きをする、 「ナマリスッテ」とが、あります。
また大型になる、タルイカやソデイカなどには、 巨大な浮きスッテもあります。
いずれも角の先に付いているのがハリで、 釣りバリの様に「カエシ」は、付いていません。 が、針先が鋭く角を抱くと非常に刺さりやすく、 パラソル状にハリが上を向いているため、 抜けにくい―。と、云う特徴があります。 このハリの事を、「カンナ」と呼びます。
角に凝り出すと数ばかり増えてしまいますが、 自身のイカした必釣パターンを見つけてしまうと、 イカにも簡単に、イカが釣れちゃうかも(^_^;)
イカ角の小宇宙、イカがでしたかm(_ _)m
|