山梨県小中学校体育連盟会長も務められた古屋博正先生の訃報に接しました。2月23日ご逝去、享年81歳。25日のお通夜も駐車場になかなか入れないほどの参列者でした。先生の気さくなお人柄、交友関係の広さを物語ります。
先生は竜王中学校校長、田富中学校校長などを務められ、甲斐直心館道場の水曜稽古の会場としても使用させていただいている玉幡中学校武道場の「守破離」の扁額も揮毫されています。
甲斐直心館館長は中学校時代、中巨摩支部大会などで古屋先生から試合の後に褒めていただいたことが何度かあり、所属の生徒でない生徒を褒めてくれる古屋先生のご配慮に感動したことや、大きな励みとなったことを思い出します。稽古で直接のご指導をいただいたことは大人になって一度あったかどうかですが、古屋先生に褒めて育てられた一人だと感じます。
通夜式で飾られていた思い出の写真の中に、1999(平成11)年5月24日付の山梨日日新聞「顔」がありました。24年前の記事ですが、古屋先生のお考えは今も色褪せないと感じましたので、内容を紹介します。 理論研究と実技が両輪 チャレンジ精神で多くの経験を
県小中学校体育連盟会長に就任した 古屋 博正さん
1999(平成11)年5月24日付 山梨日日新聞「顔」
七月の県中学総体夏季大会は第五十回の大きな節目を迎える。「結果として勝ち負けはあるが、普段の練習の中から多くのことを学び、記念大会にふさわしい盛り上がりを」と期待する。
「感じて、信じて、行動する子供のことをチャレンジャーという」が持論。「チャレンジャーにはもちろん失敗が許される。チャレンジ精神を持って多くの経験を積んでほしい」
「小中体連というと部活動ばかりを重視していると連想されがちだが、理論研究と実技が両輪」と強調する。実技は部活動のほか、体育の授業も大きなウエートを占める。「スポーツの中で一番楽しい技術は何か、本質をきちっと授業で教え、生涯楽しめるスポーツとの出合いにしたい」と力を込める。
高校時代から始めた剣道は五段の腕前。日体大を卒業して最初の赴任校となった秋山中で剣道部を作った。現在も地元・田富スポーツ少年団員らと竹刀を交え「六段を目指して修業中」の身だ。
座右の銘は、剣道などの修業の過程を説いた「守破離」。「最初はみんなに教わる『守』、それをもとに自分なりに努力工夫していく『破』、『離』は古屋カラーを出していくことかな」と説明する。
校長室の机は校庭に向かって置かれている。「子供が好きだから、いつも子供を見ていたい」。部活動にも積極的に参加し、野球のノックも買ってでる。周囲は「人の長所を見つけて伸ばすのがうまい」と言う。「良いところを褒めると悪いところが減ってくる。ひとそれぞれ花がある」 〈鷹野 裕之〉
ふるや・ひろまささん 竜王中校長。県小中体連剣道専門部長を歴任。中巨摩郡田富町東花輪。57歳。
取材をさせていただいたのが偶然、今の私と同じ古屋先生57歳の時でした。古屋先生の境地に追いついているのか、と自問自答しています。
ご冥福をお祈りいたします。合掌