※先月の彼岸中、高齢の母(享年99歳)が逝去しました。ここ数年、高齢施設でお世話になり手厚い介護生活を受けていましたが、突然市立病院からの連絡で、体調不良で検査及び入院の手続きを余儀なくされました。(3/20日中での事)
ところが同日夜、容態が悪化し治療の甲斐もなく、私たちが病室に着くと既に心停止、ひっそりとあの世に旅立ちました。(死因は腸閉塞との事)
彼岸明けまでに、家族・近親のみで、通夜・葬儀を行い、地味ですが精一杯の感謝の想いを込めて送りました。
母が乗りたかった「バス」
これは、筆者がまだ現役サラリーマンの頃の話(約8年前)…。
出勤前に母の部屋を覗いて声を掛けた後に、自動車に乗り込むのが日課でしたが、なぜかその日は部屋のカーテンが閉まったままでした。
不思議に思って、部屋を覗くと落ち込んだ様子の母の姿がありました。そして、声を掛けると開口一番、「明け方、とんでもない夢を見ただよ…」と言うので、ほー、そりゃぁどんな夢で?色はついていたけー?」と内容について聞いてみたところ…。
「仲の良い友人たちと、どこかに遊びに行くため、お気に入りの服を着てバスを待っていたさー…そして、いよいよバスが来て停車、ドアが開いて、いざ乗ろうとするんだけどなかなか乗れず、四苦八苦…既に乗っていた友人たちが、○○ちゃん(母の愛称)早く乗れしー…と呼ぶんだけど、全然ダメ…そうこうしてるうちにバスが動き出しちゃって…その時自分は転んでしまい、体中泥だらけになって、家までトボトボ歩いて帰って来ただよ…夢とは言え、なんて嫌な夢だったか…」
そのバスはどんな形で色は何色?…と聞くと、「沢山の飾りがついたバスで色は赤やオレンジや金や銀でそりゃあ素敵なバスだったよ…」「そのバスに乗りたかったなぁ」
乗っている人達はどんな感じだった?…と聞くと、「みんなおしゃれな服装で、夢のなかでは気づかなかったけど、今思えばみんな亡くなっている人ばっかだったな…」
明け方に見る夢、それがカラー(色つき)だった場合、それは「正夢」である場合が多いと云います。
そう判断した筆者は、「婆さん、そのバスはあの世行きのバスだよ…だから乗らないでよかったんだよ!乗らなくて正解だよ…良かったね」と諭すように話しました。
「まだまだ、この世での修行が足らないからバスに乗れなかったということ。いずれバスには乗せてもらえるから、それまで一生懸命に生きなさい…てことだよ」そう言うと、
「じゃあもうちょっと頑張ってみっか…」とつぶやきながら、いつもの母に戻りました。
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納棺の時、沢山の花に囲まれた母の姿を見た時、筆者の頭の奥深く華やかなバスの特等席(後部座席)に坐って仲間たちと一緒にニコニコしながら手を振る母が見えました。
「婆さん、良かったね…あれほど乗りたかったバスに乗れて…」ありがとう…行ってらっしゃい(合掌)