台風10号は、依然危険な状況です。 どうか引き続き、命を守る行動を最優先にして下さい。
先日、和歌山県の太地町で、 今年もイルカの追い込み漁が始まった―。 と、云うニュースが流れました。
太地町のイルカ漁については、 アカデミー賞まで獲った、 米国のドキュメンタリー映画に於いて、 非道だと、国際的な批判に晒されている事は、 きっと多くの皆さんも、ご存じだと思います。
イルカに限らず、鯨類を食すこと―。 に、ついて、皆さんはどの様な考えをお持ちでしょうか?
周囲を海に囲まれた日本は、 古の時代より、鯨のことを「いさな」と、呼び、 神が与えてくれた魚として、 その身は食料として、脂は、燃料として、 内臓は薬として、 ひげなどの部位は、バネなどの部品や、 工芸品などに加工して、余すことなく使い切っていました。
鯨は、本当に貴重であり、 日本人の生活には欠かすことの出来ない水産資源でした。 前記した「いさな」は、「勇魚」と、書き、 和歌の枕詞にもされる、 正に生活に密着した「大きな魚」だったのです。
が、鯨類は哺乳類である―。 と云う事実と、多くの国で捕鯨が行われた結果、 鯨類の絶滅が危惧されるようになると、 各国で捕鯨できる期間や頭数を厳しく規制して、 いわゆる「商用捕鯨」の、禁止が制度化されました。 このルールを取り決めたのが、 国際捕鯨委員会(IWC)です。
日本もIWCに加盟し、このルールを遵守して来ましたが、 度重なる調査捕鯨の妨害行為に端を発し、 漁師の方々の生活や、 名誉まで傷つけられる様な事態まで生じ、 ついに、昨年の6月に日本はIWCを脱退し、 商用捕鯨を復活させたのでした。
ところで、写真は、ある水族館のレストランで、 来園したゲストに供されるランチなのですが、 右上の煮魚は「メカジキ」で、 手前の味噌汁の中に、 少し黒っぽく見えているのが、鯨の肉です。 数年前に訪れた時に戴きましたが、 懐かしさも相まって、とても美味しかったです。
この水族館では、来場したゲストにも、 敢えて鯨を食べてもらう事で、 捕鯨や、鯨食について考えてもらうきっかけとしています。
50代の自分は、かつて学校給食にも、 鯨肉のベーコンや、 鯨肉の竜田揚げなどのメニューがありました。 鶏肉よりも歯ごたえもあって、 自分は、この竜田揚げが大好物でした。
また、肝油ドロップスという、 今で云うサプリメントが、食後に2粒ほど配られて、 お湯で飲む―。なんて、習慣もありました。 この肝油も、実は鯨の肝臓の脂から生成されたものです。
戦後から高度経済成長を成し遂げた我が国にとって、 鯨は国民を支えた食文化―。で、あることは、 紛れもない事実だと思います。
が、一方で、食文化だけで通してしてしまうのは、 国際的にも、些か説得力に欠けてしまうでしょう。
では、どの様にすれば、説得力を持って、 国際的な認知を得られるのでしょうか?
これこそ、科学的根拠であるエビデンスに基づき、 丁寧に、誠実に伝えていく必要があるでしょう。
人に限らず生きもの全てが、 他の命を食べる事で命を繋いでいます。 「かわいそう」とか、「惨い・・・」とか、 感情論で語るべきものではないと思うし、 そんな単純なことではないでしょう。
イルカも鯨も、釣りの対象にはなりませんが、 釣りも「漁」の、一端であることを思えば、 この問題に目を背ける訳にはいきません。
若い皆さんは、鯨やイルカを食べる文化さえ、 知らない方も多いでしょうが、 日本は現在も、捕鯨国であり、 鯨食国家である事は間違いありません。
この事実を、あなたはどのように受け止めますか? 一人一人が考えてみて下さい。
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