新聞、雑誌等に書いたもの、どっかでしゃべったこと、書き下ろし……の置き場です。 主に文学・歴史関係が多くなるはずですが、何にでも好奇心旺盛なので、どこまで脱線するか?!。 モノによっては長いのもありますが、興味のあるところから御覧下さい。
 
2014/07/05 14:15:13|文学
歌会始
選者5人決まる
 
  宮内庁は来年の歌会始の選者5人を決め、1日付で発表した(年齢順、敬称略)。来年の題は「本」。 
 篠弘(81)=歌誌「まひる野」代表▽三枝昂之(さいぐさたかゆき)(70)=山梨県立文学館長▽永田和宏(67)=歌誌「塔」主宰▽今野寿美(62)=歌誌「りとむ」同人▽内藤明(59)=歌誌「音」発行人。

ニュースを読んで人選の偏りなどうんざりすると同時に、丸谷才一さんの指摘を思い出した。
それは歌会始は恋歌を取り上げよ、というものだ。
明治天皇の御製から恋歌を取り除き、宮中歌から恋歌を除外した時から、この国の歌の伝統から逸脱して、恐ろしく貧しいものになってしまった。
若の伝統を取り戻すために、和歌に本気で取り組むために、皇族のうちから始めよ。
できないのならば、撰者は勇気を持て、と丸谷さんは言ったのだが、新選者にそれが期待できるか?

佐々木信綱や窪田空穂に恋歌が皆無とは思わない。
無理か?
 







2014/06/21 19:31:45|アート
バルチュスを観る
都美術でバルチュスを観る。
これだけまとまって見られるのは、初めてだし、とても幸運でありがたい。

独学のせいもあって、ユニークだなあと思いつつ、色調、構図など親しい。
彼が模写して学んだ、わたしもひいきであるピエロ・デラ・フランチェスカのフレスコのトーンがあるからかも知れない。
彼は言う「テーマより描くことに興味があるのです。テーマというのは口実でしかありません」と。
出来栄えにムラはあるし、人体の描写なども生硬だが、どこか“古拙”というようないいくすぶり感さえある。
そうかと思えばアメリカン・リアリズムのような画調もあったり……。
堪能した。
展覧会のサブタイトルに「賞賛と誤解だらけの、20世紀最後の巨匠」というのは、いかがなものか。

それにしても、どこでも美術館や博物館はアプローチが長い。
今の私には、これがしんどい。







2014/06/12 8:55:17|山梨
大丈夫? エコパーク登録
山梨の自然はあまり訪れる人の便利を配慮されていないからこそ、維持保存ができている。
南アルプスなどもそうで、最寄りの公共交通機関からのアプローチが長く不便だ。
山に入る以前、延々と歩く裾野の途で、既にバテテしまう高校生などをよくみた。
入ったら入ったで、富士山や北アルプスのように、行列する人の尻を見せつけられながら、黙々と登ってゆく、というようなことも南アルプスはない。
てっぺんがあふれるときがあるのはやむを得ない。
ロープウエイもないし、せいぜい入山口までのバスだ。

我々は「しんどい、しんどい」と呪いつつ、南アルプスが忘れ去られた存在だったことを、心ひそかに祝福したものだ。
南アルプスでは植生は守られ、高山植物は維持され、ライチョウだのカモシカだのの生き物も生息できている。
いやかえって最近では増えすぎるシカなどの樹林帯での食害が深刻になっていて、抑制を考えなければならなくなっている。
あるいはライチョウも減り、お花畑も淋しいものだというけれど。

南アルプスがユネスコのエコパークに登録されたという。
エコパークは自然と経済活動の両立が理念であるという。
いかがなものかと思うのだが、リニアモーターカーの路線を直線にしあげるため南アルプスのどてっ腹にトンネルを穿つことになっている。
予定地はエコパークの核心地域、緩衝地域、移行地域と整理した場合、登録地は「移行地域」あたり登録の影響は小さいと文部科学省は設営する。
本当だろうか?
エコパークとはそんなに限定的な扱いの網がかかっているのだろうか?
富士スバルライン、野呂川林道、八ヶ岳横断道……我々はすでにいくつかの過ちを犯している。
なんだか心配でならない。
我々のような素朴な南アルプスファンを失望させないように、世界中のエコロジストの嘲笑の的にならぬよう、登録取り消しにならぬよう、エコパークとリニア両方の推移を同時に見てゆきたい。







2014/06/07 10:06:04|本・読書・図書館
澤田精一「ひそませることあばきたてること」いただく
学生時代からの友人澤田精一氏から近著をいただき嬉しかった。
彼には詩集2冊はあるが、エッセイ・対話集は初めてだろう。
刊行おめでとう。
表紙をスキャンしようとしたが、あいにくデバイスの具合が悪い。
そこで、いけないこととは知りつつアマゾンの画像を借りた。

絵本作家養成ワークショップ「あとさき塾」の小野明、絵本専門書店「トムズボックス」の土井章史、大竹伸朗やスズキコージなどの絵本作家たちとの対話や最首悟による序文や詩人・伊藤比呂美が作家の視点から編集者・澤田精一を語る文章などを納める魅力的な一冊だ。
楽しみに、尊敬しつつ読ませてもらおうと思う。
そして、機会があったら、また、甲府で軽く一杯やろうや。
今度は私にごちそうさせてほしい。

アマゾンついでに、紹介されている彼のプロフィール。

1948 年、千葉県生まれ。
山梨大学卒。
福音館書店で児童文学専門誌「子どもの館」、月刊絵本「こどものとも」「こどものとも年中向き」「こどものとも年少版」「かがくのとも」を担当。
アーティストの大竹伸朗を絵本作家として起用し、『ジャリおじさん』(小学館絵画賞受賞)を生み出したほか、宇野亜喜良、五味太郎、井上洋介、スズキコージ、伊藤比呂美、佐野洋子などの名作絵本を世に送り出す。
白百合女子大学、日本女子大学で非常勤講師を務める。
詩集に『異貌の地』(花神社)、『忘却による転倒』(作品社)がある。

現代企画室 2300円+税

 







2014/06/05 12:38:58|文学
村岡花子でも
度胸がないのと、教員だった悪習が残存していて、講座や講演を頼まれると資料をどっさり作る。
結果使いきれなくて生煮えの思いをしたり、時間を伸ばして主宰者に御迷惑をかけたりする。

資料は使い廻せばよいのだが、二番三番煎じはいやだと思うから、手持ちの資料のあっちをいじりこっちをいじりしているうちに、結構な手間がかかってしまう。
パワーポイントもあんまり信用していないのだが、スライドのように、写真や図を見せたい時には使う。
かつてはホームページを作るようにHTML文書として作っていたこともあるが、画面への収まりがどうにも具合が悪い。
ネットへつなげば、お見せできるようなことを、別建てで作っていてもしょうがないと思う。
図版の使用の点からいえば、明らかに著作権侵犯だが、その場の聴講者のみ、無料で配布し、私が使う以外使い廻しはしないという「教材」の観点からどうにか弁護できると思っている。

パソコンとプロジェクターは自前のものを持ち込むこともある。
会場備えつけのそれらがパソコン、あるいはメディアとマッチせずあわてた経験があるからだ。
これまた結構な重量になる。

現物の本を結構な量もちこむこともある。

近々やることになっているグループも学校図書館教育研究会というから「そっちだな」と思っていたら、「今大人気の村岡花子でも」といわれるからびっくりしてしまった。
私は彼女の関係者に何人か会ったくらいで、村岡さんに詳しい訳でもない。
文学館では担当をほかの人に代わってもらっていたくらいである。

改めて文学館でやっている企画展を眺めてきて、今度の聴衆には、彼女の家庭文庫の話題とラジオでの「お話しのおばさん」のテーマにひきつけて話そうと思った。
あとは花子の仕事を保存し続ける家族の気持ちだ。
それにしても「村岡花子でも」とは、村岡さんにしても、また、講演者にしても舐められたものだ。
管理職も、教育研究も「こぴっと」した方がいい。