先日、ある先生から「桐の木刀を欲しいので、用意してくれ」と命ぜられました。左手の筋を故障しているからという理由でした。
私は10年ほど前、正心館の蓑輪先生から紹介されて、桐の木刀を使うようになりました。重い木刀や竹刀を振ってパワーやスピードを付けることばかりを考えていた私にとっては、逆転の発想でした。とにかく、軽い。もしどこかにぶつけようものなら、すぐにへこんでしまいます。
この軽い木刀をビュンビュン振ることは至極簡単です。しかし刃筋正しく静かに真っすぐ振ることは意外にも難しいのです。静かに、無駄な動きなく振るには、上級者でも左右のバランスなどを強く意識しないとできません。
ある時、日本航空学園の中村先生も桐の木刀を手にしていてお互いにニヤリとしたことがあります。中村先生は九州でも有名な剣道の先生が品定めしていたのを見て、その後、手に取ってみてすぐに購入したとのことでした。
この桐の木刀。何がいいのか。まず軽いため肩や腕、肘、手首に負担がかかりません。そして、大事なのはその後だと私は思います。直後に普通の竹刀を持ってみると、それは、それは、竹刀が普段の何倍も重く感じられるのです。「すぐに普通の素振りをしなさい」と言われても、私にはできません。
その時、なぜか竹刀の重さを本当に感じられた気がしました。そして竹刀の重さ、剣先の重さを生かして振ることが体感できました。振りかぶりに必要以上に力が入っていて、振りおろしに力を伝えられない人には、桐の木刀はお薦めです。剣先の重さを利用して振ることが意外にも簡単であり、そのためには「竹刀は握ってはいけない」ことに気づくはずです。
もしかしたら、中村先生の全国教職員3位の快進撃の陰にはこの桐の木刀の効果があったかもしれません。今度お会いした時に聞いてみたいと思います。
余談ですが、「中村先生があまりに鷹野道場の床を絶賛していたので、ぜひ今度稽古をさせてほしい」と、ある高校の先生からお話がありました。中村先生は稽古にお越しになるたびに、「この雰囲気は何とも言えないですね」と感想を話してくださいます。
道場で稽古ご希望の先生は、ぜひお気軽にお越しください。野間道場&武床工舎の杉の一枚板は甲斐直心館の自慢の一つです。足腰にやさしい本物の道場で剣道をすると、新たな境地が開けるかもしれません。
|