おおいぬの口あたりで輝くシリウスは、恒星としては全天で一番の明るさを誇っています。
シリウスという名は、ギラギラ輝くイメージどおり"焼き焦がすもの"という意味のギリシャ語「セイリオス」からきています。
これは、日の出前の東の空にシリウスが顔を出すようになると、太陽と並んで地球を照らし、焼けつくような暑い夏の季節を作り出すと考えられていたからです。
また、ヨーロッパでは、7月の初めから8月中旬ごろまでの暑中を「ドッグ・デイ(Dog Day)」と呼んでいたとも云われます。
一方、こいぬ座のプロキオンは"犬の前に"とか"犬の先駆け"の意味。
これはおおいぬ座のシリウスより先に東の空から昇ってくることによるもの、という意味です。
古代エジプトでは、シリウスが夜明けの空に昇るのを見てナイル川の増水が到来する季節を知ることが出来たということで、シリウスに先駆けて姿を見せるプロキオンは、とても大切な星だったということです。
ところで、おおいぬ座になっている大きな犬の正体については、オリオンの猟犬というほかにも諸説あって、いまひとつはっきりとしていないようです。
イカリオス王の忠犬マイラだろうとか、月と狩りの女神アルミテミスの侍女プロクリスの飼っていた名犬レラプスだろうとか、様々な話が伝わっています。
こいぬの方は、その愛らしい姿に似ず、主人のアクタイオンを咬み殺してしまった猟犬のうちの一匹メランポスとされることもあります。
狩の名人アクタイオンは、ある日猟犬たちを連れて山奥へ鹿狩りに出かけたとき、ふとしたことから、女神アルミテミスが侍女たちと水浴びをしているところを見てしまったとか。
怒ったアルミテミスがアクタイオンに水を浴びせかけると、アクタイオンの姿は枝角の生えた鹿の姿に。
突然目の前に現れた大鹿に、まさか主人とは気づかず、猟犬たちはアクタイオンに跳びかかって咬み殺してしまうのです。
帰らぬ主人を捜し求めるメランポスを、神は哀れんで星座にしたというお話です。 |