木星の大赤斑(Great Red Spot)と呼ぶようになったきっかけは以前からあった斑点が当時急に赤く変化したため、「発見」と同時に話題に上がったからだと云われています。
以後大赤斑は、赤味の顕著な時期とそうでない時期を繰り返しながら現在に至っています。
じゃあ「発見」以前はどうだったのかと言うと、ドイツのクリツィンガーという人物が文献を詳細に調べたところ、大赤斑はそれ以前にも数多く観測されていて、最古のものは1831年9月まで遡れることが分かりました。ですが、赤かったという記録は残念ながら、今もって見出せていないそうです。
ところで大赤斑はなぜ赤いのか・・・。
これだけ探査機が飛ぶ時代になっても木星の雲の色についてはまだ分からないことだらけ。特に大赤斑がなぜ赤いかという質問を投げてみると、模範回答はこんな内容。
「大赤斑は高気圧的な渦であり、内部では相当強い上昇気流、周囲では逆に強い下降気流を持っている。木星の大気には主に水素とヘリウムであるが、アンモニア、メタン、さらに微量ではあるが、イオウやリンの化合物が含まれている。それらが上層に運ばれると太陽光によって複雑な化学反応を起こし、結果赤い色合いを作り出していると考えられている。」
じゃあ、どんな化学反応が起きて何が赤いのかと聞いても「分からない」という返事が返ってくるのが現状です。
直近の情報によると、2017年7月、木星探査機ジュノーが木星の大赤斑の上空をかすめるように飛行し、太陽系で最大級の嵐を至近距離から撮影することに成功。上空わずか9000kmのところから見た大赤斑は、とぐろを巻く濃赤色の巨大な雲の中に、小さな渦がいくつも並んでいました。