今から遡ること30年前の今日(1987年2月24日)、南米チリ、ラスカンパナス天文台に勤務していた天文博士“イアン・シェルトン氏”がいつものように日課的に大マゼラン雲に望遠鏡を向けていたところ、今まで何もなかった銀河内に、突然明るく輝く星“超新星”を発見しました。
大マゼラン雲は、天の南半球にある天体で、私たちの住む地球から16万光年離れた銀河です。
大マゼラン銀河で起こった、この超新星爆発の光は、16万年もの間、宇宙空間を飛び続け1987年2月24日、やっと地球に届いたものです。この年最初に発見された超新星ということで、SN1987Aと名付けられました。(超新星1987A→SN1987A…SNとは「supernova=超新星」の略)
マゼラン雲は、星の大集団、日本から直接見ることはできませんが、この超新星からやってきた素粒子ニュートリノは同じく16万年かかり、地球を通り抜けて日本のカミオカンデで観測されました。
観測されたニュートリノの數は10秒間で11個。
この11個のニュートリノを分かりやすく解説すると、例えば私たちの太陽が46億年かかって放出して来たエネルギー×11個分が次々に爆発したもので、すざましさが伝わると思います。
大きな星が、一生を終える時に起こす大爆発が「超新星」です。
太陽も含め恒星は自ら輝いていますが、その時間は無限に輝いていられるわけではありません。
太陽など、恒星は水素をヘリウムに変える核融合反応で光り輝きます。つまり、水素4つでより大きなヘリウム原子核を作り、この時にエネルギーができると云います。
年老いた恒星とは、原子核反応でより重い元素を作りながら輝いているのですから、星の中に重い元素が溜まると考えれば良いでしょう。
大きな星では、ヘリウムが反応をはじめます。
ヘリウムが反応して、より重い複雑な元素ができて行きます。
ヘリウム、リチウム、ベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素、珪素、鉄…など。
鉄より重い元素は、星の中では作られないことが分かっています。
ですが、私たちの身の回りには、鉄より重い元素は、たくさんあります。たとえば金、銀、銅など。
この重い元素たちは、超新星爆発の時に作られることが分かって来ました。
太陽の8倍以上大きい恒星が、超新星爆発を起こします。
今、地球に金・銀・銅などがあるのは、太陽が生まれる前に一度以上、超新星爆発があったということになるのです。(私たちの体を作るカルシウムや鉄なども超新星爆発のおかげです)
大マゼラン雲の『SN 1987A』でも様々な重元素が作られたことでしょう。
超新星爆発が観測されて30年。月日の経つのは早いものです。
※参考画像は何もなかった部分(矢印)に突然現れた超新星1987Ąと現在の1987Ą。