イータ・カリーナ星雲はみなみじゅうじ座近くの天の川の中に位置している星雲です。
日本からだと沖縄以南で南の地平線近くに輝いて見えるようですが、南半球では空高く輝いています。
差し渡し約500光年の大きさがあって、北半球で有名なオリオン大星雲に比べて直径は約10倍。含まれる大質量星の数もずっと多く、500〜1000倍明るいと云います。
イータ・カリーナ星雲に重なって見える星の多くは星雲内で生まれたものらしく、星雲には100万〜1000万歳の散開星団が少なくとも8個重なって見えているようですが、これらもこの星雲内から誕生したと考えられていて、今もなお活発に星が生まれています。
イータ・カリーナ星雲の中心部には鍵穴(キーホール)星雲と呼ばれる濃い暗黒星雲が存在し、それに重なって散開星団トランプラー16が輝いています。
イータ・カリーナ星は星雲の輝きに最も大きく寄与している星。2つの星が互いの共通重心を回る連星系で、いずれも太陽のおよそ100倍の質量を持ち、星として存在できる限界に近いと云います。これは太陽の500万倍の明るさをもち、観測されている天体の中で最も不安定な星だと言われます。
この星が最初に文献に登場するのは1677年で、4等星の星と記載されています。ところが、1730年には2等星となり、1782年には4等星に戻りました。
その後、増光と減光を繰り返し、1843年には突如マイナス1等星となり、全天で2番目の明るさに。そして、1900年頃には8等星まで減光し、その後ゆっくり増光しながら現在は4等台で輝いています。
イータ・カリーナ星雲の天体画像を見るたび、不思議に満ちた宇宙の姿を目の当たりにすることでしょう。
※参考画像は「イータ・カリーナ星雲」