「褐色矮星」の呼び名は1975年、SETI(地球外知的生命体探査)で有名な天文学者ジル・ターターによって発案されたものです。
褐色矮星は恒星と惑星の中間の天体だと覚えれば良いでしょう。
恒星は中心部で水素が核融合反応をお越し、自ら光り輝くものを云います。
ですが、太陽質量の8%(木星の75倍)以下の天体は質量が小さすぎて、水素が核融合を起こすことが出来ません。
代わりに、重水素が核融合反応を起こしてエネルギーを放つようですが、重水素は存在量が少なく、すぐに燃え尽きてしまうことになって、これが褐色矮星というものです。
そして、さらに質量が小さく、木星の13倍以下の天体では重水素が核融合反応を起こすことさえできなくて、これが惑星と呼ばれるものです。
褐色矮星の表面温度は400〜2000度ほどで、可視光よりも赤外線を強く放っています。
褐色矮星は普通の星と同じように巨大なガスと塵の雲が収縮して形成されます。
この意味では恒星周囲のガスと塵の円盤から形成される惑星より、恒星になりそこなった天体というにふさわしいでしょう。
このときの収縮によるエネルギーと、重水素の核融合反応によって褐色矮星は光を放ちますが、重水素はすぐに燃え尽き、その後は徐々に冷えて数千万から数十億年ほどで光を出さない黒色矮星になります。
こういった、褐色矮星は静かな天体と推測されていましたが、最近、パルサーのように電波ビームを放出する褐色矮星やエックス線・電波が急激に強まるフレアを起こす褐色矮星が発見されるなど、意外に激しい天体であることが分かって来ました。
褐色矮星は銀河系内に約1000億個ほど存在すると考えられていますが、現在までに約670個しか発見されていないと云います。 |