画像は、私たちの住む天の川銀河が、あと数十億年以内に隣のアンドロメダ銀河と衝突するときにどういうことが起こるかも教えてくれているもの。
触角銀河は、1785年にウィリアム・ハーシェルによって発見されたもので、二つの銀河は約9億年前に互いに接近し始め、約6億年前には両者は互いの本体同士が通り抜け、約3億年前には銀河の星々の一部が本体の外へ放り出され始めたと考えられています。
そして現在では、放出された星からなる2本の流れが元々の銀河本体のサイズをはるかに超えて伸び、触角状の姿ができたというものです。
今後4億年以内には、触角銀河の中心部は1個の核になり、約10億年後には銀河全体がごく普通の銀河の姿に見えるようになると予測されています。
「NGC 4038」と「NGC 4039」という2つの銀河が衝突しているこの天体は、『触角銀河』(Antennae galaxies、アンテナ銀河)と呼ばれ、地球からは約6200万光年離れていて、衝突は現在も進行中で、星の形成活動が活発に行なわれています。
個々の星のように見えるものは若い星のクラスターで、無数の新しい星が含まれているもの。 形成された星の中でも最も質量の大きいものは、すでに爆発して超新星になっていると云います。
この画像は、米航空宇宙局(NASA)による3つの宇宙望遠鏡、スピッツァー赤外線宇宙望遠鏡、ハッブル宇宙望遠鏡、チャンドラX線望遠鏡が撮影した画像を合成したもので、銀河が衝突・融合している現場の最もシャープな画像と云えるでしょう。
それぞれの画像は1999年から2002年に撮影されたもので、117時間にわたる観測を統合したもの。
ハッブル宇宙望遠鏡の可視光は、古い諸銀河の中心部にある年老いた星などを捉えていて、星が形成されている領域は金色で、そこから宇宙塵が広がっている様子を見ることができます。
スピッツァー赤外線宇宙望遠鏡の赤外線データ(赤色)は、新しく誕生した星によって塵雲が加熱されている状態を示していて、2つの銀河の間にあるところが最も明るく映し出しています。
チャンドラX線望遠鏡のX線データ(青色)は、熱い星間ガスを捉えているもので、このガスには、超新星爆発の残骸である酸素、鉄、マグネシウム、シリコンなどが含まれていて、これらの元素が新しい世代の恒星や惑星の生成に寄与することになると云います。
Antennae galaxiesという名前は、2つの銀河の中心部から突き出す2つの「尻尾」が、昆虫の長い触覚(Antennae:Antennaの複数形)のように見えることから命名されました。 この尻尾は、初期の衝突のときの潮汐力が作り出したものです。 |