知ってますか山梨の宝、青楓美術館
二科山梨支部は、県立美術館での第四回支部展を無事
終了しましたが、この会期中に笛吹市立青楓美術館関係
者が相次いで来場され、二科山梨支部の活躍を喜んで
頂き、青楓美術館の存在を二科関係者に伝えてほしいと
のメッセージを頂きました。
2005年に山梨県北杜市に移住し、支部設立に注力、
何とかこの山梨県に二科会の活動の種まきと思って活動
し、支部長を務める私は青楓美術館のことは全く知
らずにいました。
公益社団法人二科会は今年設立百周年を迎え、来年
は第百回記念展を予定していますが、青楓美術館の存在
を知ったことに不思議な巡り合わせ・縁を感じています。
というのも青楓美術館は、100年前の二科会創設者の
一人津田青楓の美術館なのです。なぜ京都出身の青楓
の美術館が山梨県笛吹市にあるのか興味津々、支部展
終了後、早速青楓美術館を訪問し、答を頂きました。
津田青楓と親交のあった一宮町出身の歴史家小池唯則
氏が、山梨県の文化の向上の為、美術館を作りたいという
思いを津田青楓に伝えたところ、青楓が心打たれ、美術館
設立の資金作りに役立ててほしいと自分の作品数十点を
寄付した。小池氏は津田青楓の作品を売ることなく、更に
青楓の作品等収集、多くのコレクターなどの協力・寄贈も
重なり、集まった青楓にまつわる美術品は500点。山梨
県立美術館開館に先駆けて、小池氏は40年前に私財を
つぎ込んで美術館を建て、津田青楓の作品や関係者の作
品の公開を開始したことをお聞きし、大変感動しました。
規模はともかく、山梨県で最初の本格的な美術館と言う事
になるのではないでしょうか?
その後小池氏のご遺族が美術館・作品を笛吹市に
寄贈し、現在に至っているが、笛吹市のみならず、
山梨県には貴重な文化財だと感じました。
津田青楓は、二科設立者の一人として知られるが、
その波乱万丈の経歴から、一般の方には馴染みの薄い
面もあるが、夏目漱石と親しく、その小説の表紙絵など
数多く手がけ、又歌人与謝野晶子との交流も知られて
いる。
画家として洋画・日本画・水墨画に通じ、書家、歌人、
随筆家として、又良寛研究家等マルチ芸術家として活躍
した。最初の妻は洋画家山脇敏子で、後にデザイナーと
して活躍、山脇洋装学院を創設した事で知られる。
今連続ドラマ「花子とアン」で山梨が注目されている
村岡花子との交流や村岡花子の生涯の友として登場する
柳原白蓮との交流等、この青楓美術館を訪ねると、青楓
の作品、彼の生き様を通じて多くのドラマ・感動を楽しめ
ると思います。
そして何よりも、自分さえよければという風潮の中、
私費を投じ、県民、全国の愛好家に美術館を残した
小池氏の足跡、私心を超えた熱き思いに共鳴する人々、
これこそ大きなドラマであり、小池氏が私達に残した
最大のメッセージではないでしょうか。
公益社団法人二科会(絵画・彫刻)の二科山梨支部
は、山梨県内ではほぼゼロからスタート、多くの人の支え
を得て、二科百回記念展の来年は支部展第五回の節目
を迎えます。支部として十名近くなった同人達と、青楓
美術館関係者と協力して、津田青楓、小池唯則氏の
足跡・功績を県民、全国に広く発信したいと思って
います。
二科会山梨支部長 矢野兼三