こんにちは。
アートギャルリー日本ぶっくあーとの太田です。
今回も引き続き、私がお客様や身近な方から伺った貴重な体験談、
『■■■で絵を買ってこんなトラブルがありました』というお話をします。
ケース2: 見たのはホンモノ、送られてきたのはニセモノ
ネットオークションでの売買を何度か経験している、アミ様(仮名)。
引越しのときに荷物を処分するために出品したり、
一般には販売されていないノベルティグッズを落札したりして、
ネットオークションを利用していました。
ネットオークションのトラブルは耳にしていても、自分は大丈夫だと思っていたそうです。
家を新築したので絵を飾ることにしたアミ様は、
以前展覧会でチェックしていた現代作家の名前をネットオークションで検索。
最初は版画にしようと思いましたが、一目で気に入った原画作品(一点もの)に入札。
本物と記述があり、また画像を見る限りは問題なさそうだったので迷いませんでした。
プロフィールや商品情報欄には、出品者が画廊であるとか、
絵画を扱う業者であるとはかかれていません。
でも評価数が4ケタもある出品者だったことと、
出品されていたのが絵画ばかりだったということから心配もしませんでした。
届いたのはとてもキレイな作品、しかし画像で見ていたのとは少し色や雰囲気が違う...
ただ、ネット出品経験者のアミ様は、
『プロじゃないから、実物と同じ色が出るように撮影したり画像を加工するのは難しい』と
気にも止めず飾り、出品者の対応も悪くなかったので “とても良い出品者”と評価。
数年後、偶然その作家の個展をしている画廊に足を運ぶと、
自分が持っているはずの作品がそこに!!!
専属契約をしている作家なので、そこにあるのが本物であることは間違いありません。
『似たような作品はあるが、全く同じ作品はない』と言われ愕然。
その作品はその画廊経営者の個人所有物です。
しかも画家から直接買ったあとは自分の画廊で非売品として短期展示したのみで
一度も売りに出したことはないとのこと。
おそらくネットオークションの画像として使われたのは、
なんらかの方法で盗撮された写真。
写真の作品はホンモノ、送られてきたのはニセモノだったというわけです。
写真があれば、それをもとに中国の贋作村で描かせるなり、いかようにでもなります。
運良く出品者が同じIDでまだオークションを利用していたので、
アミ様は取引のときにもらっていたメールアドレスに連絡。
すると、『ニセモノとは知らなかった。大変申し訳ない。』と返金に応じてくれました。
画像のことを聞くと、
『この絵を買うときに送られてきた画像だ。すっかりダマされた。
自分も被害者なので、この絵を売った人間に責任をとってもらう。』とのこと。
店舗をもたず、ネットオークションだけで絵を売っている出品者は
『長年やっているが、こんなことは初めて。本当に恥ずかしい。
これまで築いてきた信用が一瞬で失われると生活できなくなるので、
どうか口外はしないで欲しい。』とアミ様に口止めしたようです。
さて、ここで話が終われば良かったのですが...
実はまだ続きます。
アミ様にはお金が戻ってきましたし、売ったほうも『知らなかった』ということで一件落着したはず。
ところが数年後、またまた同じIDの人がアミ様が買ったニセモノを出品していました。
驚いたアミ様は慌てて連絡して忠告。
出品者は
『過去のデータを使って一度に何点も出品しているので、間違えた。
今後同じことがおきないようにデータを削除した。あのニセモノも既に処分している。』とのこと。
その後は...どうなったのでしょうか?。
その出品者がニセモノを処分しているかどうかは分かりません。
そしらぬ振りして何らかの手段を使い個人や業者に転売するという可能性もゼロではないのです。
万が一、何点か同じものが作られているとしたら?
次回は、もしもうちのスタッフがネットオークションで絵を買うなら...をお話します。
が、これからスタッフに聞き込みして書きますのでしばらく時間がかかりそうです。
少しお時間をください。
アートギャルリー日本ぶっくあーと、太田でした。
2012.05.14.