お客様からいただいた質問をもとに、今日は油彩の描かれる素材についてお話したいと思います。
Q 値札に「油彩」と書いてありますが、「水彩」に見えます。間違えていませんか?
すみません、確かに書き間違えることがあります。
しかし、その水彩画のように見える絵は油彩なんです...
油絵と聞いて、最初にみなさんがイメージされるのはどんな絵ですか?
カンヴァスに描かれた絵具を塗り重ねた絵ですか?
実は同じ「油絵」と呼ばれる絵でも、全てがカンヴァスの上に描かれるわけではないんです。
また、絵具が厚く塗り重ねられていない作品もあるのです。
絵が描かれる土台となるものを支持体(しじたい)といいますが、これが結構いろいろあるんですよ。
簡単に分類すると以下のようになります。
まずは布類。これはキャンバス、カンヴァス、カンバスなどと呼ばれ、一番知られていますね。おもに麻や木綿が使われて、化学繊維もあります。
次は板。天然の木材と合板があります。
そして紙。「水彩画」に使われるイメージが強いのですが、油絵にも使われます。たくさん種類があります。
ダンボールを使う画家もいます。
さらに金属板などもあります。
同じ油絵ですが、カンヴァスに描かれたり、板に描かれたり、土台になる素材が違えば、絵の印象がかなり変わります。
女性のみなさまはお化粧をイメージされると分かりやすいかもしれません。
つるっつるっの卵肌と、ちょっとニキビができちゃった肌と、
事情があってザラザラに荒れちゃった肌と、
土台となる肌の状態が違えば同じメイクをしても仕上がりが違いますよね。
さらに油絵は、描かれる支持体だけではなく、絵具の使い方によっても印象がガラっと変わってしまいます。
絵具の盛り上がりが遠目でもはっきりとわかるくらい塗り重ねられた作品もあれば、
その反対に「これ水彩?」と思わせるほど透明感のある作品もあります。
ですから、水彩風の作品=油彩×紙×絵具はさらっと、みたいな組み合わせにすれば「これ油彩???」のような表現も可能です。
作家がその作品をどのように表現したいかによって、組み合わせを考えます。
例えば、私の作品= 油彩×粗目の麻カンヴァス×絵具はかなり厚塗り、とか。
スターバックスで自分好みにカスタマイズするような感じです。
私のカフェラテ= エスプレッソ多め×低脂肪ミルク×キャラメルソースかなり多め、とか
ただし、スタバのカスタマイズ同様、油彩画の組み合わせは、
描く素材と絵具の重ね方だけにはとどまりません。
油彩絵具メーカー、絵具の薄め具合、支持体の処理方法(絵具を塗る面の下処理)、
描く際に使う道具(筆、ナイフなど)、砂などの異物を混入させるか...
その他モロモロの様々な組み合わせで、その作家の個性が創られます。
作家が、どうしてそのような材料を使ったのか、どんなふうに描いたのかなどを考えるのも絵の楽しみ方のひとつです。
次回は版画のお話をしたいと思います。
ただしいつになるか分かりません。
明日とあさってはオギノ湯村ショッピングセンターの特別ご優待会です。
うちのお店でも2日間限りの特別価格で作品をご提供しますが、
その準備であたふたしています。
アートギャルリー日本ぶっくあーと、太田でした。
2012.04.19.
アートギャルリー日本ぶっくあーと
WEBショップもよろしくおねがいします。
http://nihonbookart.com/