朝日新聞愛読者の皆さまには重複してごめんなさいっ。
昨日2月4日の『天声人語』を、朝日新聞読者以外の方にもぜひ、 一読していただきたくて、ここに全文掲載します。 システム上、横書きで表記することを、どうぞお許しください。
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<天声人語> 平成27年2月4日 山梨(全日)版 現場を熟知する人の言葉には耳を傾けさせる力がある。 ベトナム戦争や湾岸戦争を取材したベテランジャーナリストの 橋田信介さんは2003年、イラクへの自衛隊派遣に反対する 文章を書いている。
危険だから反対するのではない。日本国家および国民にとっ て何の得もないし、この年に米国が始めたイラク戦争には何の 「大義」もない、と。翌年、橋田さんはサマワにあった自衛隊 の宿営地を訪れた後、銃撃されて亡くなった。
ここまで勢力を増した「イスラム国」の源流をたどるとイラ ク戦争に行きつく、との指摘が識者から出ている。 フセイン 政権崩壊後、激しい宗教対立と反米感情の高ぶりの中で過激な 思想が育まれたという見方だ。邦人2人の人質事件の検証には、 長期的な視点が必要と知らされる。
今回、日本政府の対応は適切だったか。当面の検証を試みる 論戦が国会で始まった。2人の動画が公開される以前に十分な 手を尽くしていたか。イスラム国と「戦う」周辺国に2億ドル 支援する、との首相演説の表現は妥当だったか。
長く人道支援のNGO活動に携わり、イラクやシリアをよく 知る熊岡路矢さんは、首相の中東歴訪と演説が彼らの行動を誘 発したと見る。「軍事援助ではないといっても、応援には違い ないと刺激してしまう」
熊岡さんは同時に、自衛隊のイラク派遣が イスラム世界の 人々の日本に対する好感度を下げたことに注意を促す。03年 までさかのぼった重層的な検証とせよ、との指摘にうなずく。
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生まれた直後から上流階級で育ち、子育ての経験もない、さらにはいちど総理の座をケツ 割って恥をかき、自らを笑った世間に対する怨念を原動力に変えた、ひとりの愚かな宰相の野望によって、戦後70年間に培ってきた世界の信用を失い、日本は今まさに、戦争に引きずり込まれようとしています。
私たちそれぞれ国民が、本気で立ち止まらなければならないと気づき、力を尽くさない限り 次の世代に対して、永遠に悔いを残すことになるでしょう。
ひとりでも多くの日本人に、この危機を理解していただきたい。 そんな思いで、こんな田舎の防水屋の、一般市民の小さな叫びでも、最後まで無駄ではないことを信じて、悪政に対し、私は抵抗し続けます。
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