甲府文芸講座でグローマー教授(山梨大学)の話を聴いてきた。 講演内容はもちろん質疑応答でも、いくつか興味深かかった。
まず、甲府の瞽女(ごぜ)集団が、一人の女元締め(師匠でもある)紅革おかんの元に束ねられていた「集中型」であったこと。 彼らを搾取しようとする、上部機関、たとえば諸芸の元締めだった浅草弾左衛門のような存在はいなかったこと。
また、彼らの「意識としては」、自分たちは賤業の芸人とは別物だとする明確なプライドを持っていたという点。 けれども、意識は意識として、「現実」の彼女らの社会的処遇はどうだったのか、もうすこし突っ込んで伺いたいところではあった。 そのために私は猿挽きなどの例を出して質問してみたのだ。 猿挽きは、自らの意識(あるいはタテマエ)と社会的地位がかなり食い違っていた例だと思うし、瞽女もそのようなことが言えないだろうかと考えたからだ。
また、兵藤裕己氏が「〈声〉の国民国家ー浪花節が創る日本近代」(講談社学術文庫)の中で、瞽女の「ことば」が「共通語」であったと指摘していたことを確かめたところ、フィールドワークの経験から、氏がはっきりと否定されたことも印象的だった。
それにしても、明治6年に藤村権令によって解散させられた後の甲府の瞽女集団、また、紅革おかん女親分は、その後、どのような末路をたどったのだろうか、様々に想像力が広がる。
写真は公演するグローマーさん
次回は自分が話さねばならない。 宿題・発表を負わされた生徒みたいでプレッシャーである。
第3回講座 12月18日(土)13:30〜16:00 甲府市立図書館視聴覚ホール <町場>の芸能 ―若松座・桜座ほか 講師 福岡哲司(都留文科大学講師 出版猫町文庫主宰)
神事芸能から舞台・寄席芸能へ 太神楽師 鏡味仙三 |