先日の『海辺の環境教育フォーラム2020』の、 2日目の分科会では、気候変動について意見を交わしました。
何度かブレイクアウトをして、 たくさんの方と意見を交わしました。 が、同じ会場でありながらでも、 オンラインでは、直接お話しできなかった方も、 少なからずいらっしゃいました。
この分科会では、 「気候変動」が、原因かどうか定かではないが、 最近、身近な海で気付いた変化や異変についても、 意見を交わしました。 そして、ブレイクアウト終了後に、 各グループで出て来た事象を、 全員でふりかえりしました。
その中の一つにあげられていた事象に、 「クロダイによる、海苔の食害」が、ありました。
この海苔の漁をされている場所が何処かというと、 割と身近な海である東京湾です。
ご存じの方も多いかとは思いますが、 現在の大田区や江東区などは、 海を埋め立てて出来た場所で、 かつては、広大な干潟が広がっていた海でした。
そして、名産の「アサクサノリ」の、 一大漁場としても栄えていました。 海が近くに見えないのに品川とか大森などには、 今も海苔を販売するお店が少なくありませんよね。 因みに「アサクサノリ」は、商品名ではなく、 歴(れっき)とした、種の名前です。
が、かつての高度経済成長により、この辺りの海は汚れ、 一時は、背骨の湾曲したボラが居たり、 周辺も悪臭があったりで、 環境の悪化が著しかったエリアでもあった訳ですが、
様々な水質浄化の施策がなされ、 工場などからの直接的な排水は禁止され、 次第に東京湾の水質は、 現在進行形で改善しています。
そして、アサクサノリ漁を復活させるべく、 千葉県側の富津などでは、 海苔の漁獲高も、年々回復している状況がありました。
が、この水質浄化により、 魚のエサになる生物相も多様化して来たことにより、 雑食で名高い『クロダイ』が、 なんと海苔を食い尽くす―。 と、云う食害が各地で見られる様になったそうです。
自分もこの食害について、話しは聴いていましたが、 元々、クロダイ釣りが好きであることや、 クロダイが食べた―。と、云う証拠が明確でなかった為、 半ば半信半疑の状況にありました。
が、この検証をすべく、 海苔のヒビ(※注)の水中カメラを入れ、 海苔を食い荒らす犯人を撮影しようと試みた結果、 その映像には、クロダイが伸びかけていた 海苔の芽や茎を食い荒らす様子が、 バッチリ撮られていたのです。
こうした検証を受けて、 地元の漁協等では、海苔のヒビの周りに、 防魚ネットを張り、ヒビへの侵入を抑える対策や、
クロダイも捕って、水産物として販売し、 周辺の飲食店で、クロダイを素材にした料理を出し、 地域活性にも協力しよう―。 そんな動きもあるそうですが、 根本的な解決には至らず、食害は減って居ないようです。
そこで、クロダイには罪がない訳ですから、 「駆除」ではなく、「利用」する形で、 食害を減らす対策はないのか―。
はたまた、全く別の方法で、 海苔も、クロダイも守れる施策はあり得るのか―。
是非、海から割と遠い場所にいらっしゃる方々にも、 お知恵を頂戴できたら有り難いなと思い、 投稿致しました。
潮位を人為的に操作してでも、 海苔のヒビとクロダイのエサ場が分けることができれば、 少なからず、海苔ヒビへのクロダイの侵入は、 防げるかもしれません。
只、海苔の味を知ってしまったクロダイですから、 一定量の海苔については、 敢えてクロダイのエサ用に栽培する手もあるかもしれません。
また、釣り人に一役買って戴くアイディアも、 あるかもしれません。クロダイ釣りは、人気ですから!!
いずれにせよ、 東京湾がかつての豊かな海に戻っている現状を、 後退させずに、名産の「アサクサノリ」が、 再び、東京の水産資源として広く食卓にあがって欲しい―。
そんな風に思います。 何か、なるほど!!と、納得できるようなアイディアを、 このブログにお返し戴けると幸甚です。 何卒よろしくお願い致します。
※注 海苔ヒビ(上 左写真) 海苔の胞子は、海中を漂い、網などに定着し育ちます。 その事象を利用し、海底に竹竿などを刺し、 その竿と竿の間に網を張ることにより、海苔を定着させます。
基本、竹竿は刺さっているだけなので、 潮位の変化により、深く刺したり、浅く刺したりすることで、 海苔が乾燥に晒されるのを防ぐ事が可能です。
この竹竿と網がセットになったものを、 『海苔ヒビ』と、云って、伝統的に使われています。
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