つい先日のネットニュースに、 九州のとある防波堤で、 落水した釣り人を、 その場に居合わせた釣り人6人が、 協力し合って、無事に救助した―。 そんなニュースが報道されていました。
そして、この釣り人6名に対し、 当該エリア管轄の海上保安部から、感謝状を贈って、 この6人の釣り人の方々の勇気のある行動を讃えた・・・。 そんな内容でした。
実は、この事故は「夜釣り」中の事故だった様です。 落水した方は、 ライフジャケットを着用していなかった様です。 さて、第一発見者となった方は、 夜釣りの最中に、「たぷん」 と、云う音を、暗闇の中で聞いたそうです。
すると、「ロープ!!」と、叫ぶ声が聞こえて、 見ると、男性が溺れまいともがいて居た―。 と、記事は伝えていました。
そして、直ちに「応援をお願いします!!」と、 暗闇で叫んだら、 他の5名が暗闇から駆けつけて来た―。 とも、伝えています。
釣りで応援を要請するのは、大抵ノ場合、 予期せぬ大物が掛かった時です。 タモ網を手に駆けつけた方もいらっしゃった様です。
が、落水事故である事を、全員が認識すると、 その場の連携プレーで、係留ロープを投げ、 落水者の体に巻いて、 全員で引き上げたと書いていました。
この様な状況で、6人が連携して動き、 大切な「命」を、救い上げた行為は、 本当に勇気のある、立派な行動だと思いました。 なかなかこうした状況では、 冷静な動きはできないからです。
が、救助に当たった方の大方が、 ライフジャケットの着用を、 していなかった感じなのです。 第一発見者の方の実名を出して、 釣りの帰りに、 ライフジャケットを買った事が付記してありました。
こうした記事の書き方に、 少し違和感を覚えてしまいました。 折角の素晴らしい行為が、もしかすると、 誹謗・中傷に晒される可能性が 出て来てしまっているからです。
なぜなら、この記事で自分が気付いたように、 ああ、ライフジャケット着けていなかったんだあ・・・ と、云う事実が晒されてしまいました。 だから釣り人は・・・。 と、そう言う誹謗です。
当方は、某救助団体で、 事故防止を目的としている ファーストエイドの指導者でもあり、 実際に救助に当たる知人も多く居て、 様々なケースを聞いている現状があるので、 少し、私見を述べさせてもらいたいと思います。
誰も水に飛び込む事無く、 救助できたのは素晴らしい事です。 ありがちな、誰かが飛び込んで、 逆にその人も溺れた―。 って、云う最悪の結果にならなかった事は、 本当に見事だと思います。
しかも、他の方が救助中に救急車を呼んでいますし、 ライフジャケットを着けていなかった事が、 書かれていなければ、これは本当に良い記事でしょう。
記事では係留ロープを、 落水者の体に巻いて引き上げています。 が、もしかすると、ロープが落水者に食い込み、 更に怪我をしたり、 救助者も落水したりする可能性もあった訳です。
その時、ロープでなくクーラーとか投げて、 浮いた状態で救助を待ったら、 もっとリスクは小さくできたかもしれません。
海難救助ナンバーである 「108番」を、誰かが知っていたら、 更に安全に救助できたかもしれません。
現場を知らず、 記事だけで軽々に発言することはできませんが、 救助した側も、こうした救助行為で表彰や、 メディアの取材を受けた際は、 特に実名の公表については、 充分に慎重になった方がいいかもしれません。
そして、足場の良い堤防であっても、 こうした落水事故が起きてしまう―。 と、云う事を強く認識して、 ライフジャケットは必ず着けて、 釣りを楽しんで欲しいと思いました。
素晴らしい救助行為なので、 実名の公表で、この6人の方々の名誉が、 傷つけられる事がないようにと、心から祈っています。
写真は全て釣り用のライフジャケットです。
1枚目 オーバーベストタイプ (主に堤防・磯釣り用) 2枚目 ハーフベストタイプ (主に船釣り用) 3枚目 ライフチューブタイプ (主にルアー釣り・船釣り用)
|