鯛損の「でっかい夢釣りあげよう!!」

魚釣りをもっと楽しく、 魚釣りでもっと綺麗な海を!! フィッシングメッセンジャー野澤鯛損は、 釣りの世界のインタープリターです。 HOOKかんきょう『協育』事務所のページと、 併せてご覧下さい!! 釣り人も、そうでない人も、大人も、子供も、 でっかい夢、釣りに来て下さい。
 
2020/09/13 9:06:01|トピック
奇跡の魚『クニマス』2 繋がっていた命
田沢湖は日本で最も水深がある湖です。
その深さは、最深部で423bもあるのです。
実は、更に不思議な事実もあります。

それは、田沢湖の水深が、
なんと、周辺の日本海の水深よりも深い―。
と、云う事実です。

これは、田沢湖はかつてはユーラシア大陸にあり、
地殻の変動により、日本列島にくっ付いたカルデラ湖―。
であることが、分かって来ました。

その田沢湖に居た固有種であったクニマスの先祖も、
実は、ユーラシア大陸に棲息していた、
サケ科の魚であったと云っても過言では無いでしょう。

さて、写真は2010年に山梨県の西湖で、
クニマスが発見された時の新聞記事です。

この世紀の発見に「さかなクン」が、
深く関わっていた事は、当時も大きなニュースでしたし、
絶滅から70年を超えて命を繋いでいた事実は、
本当に奇跡としか言い様がなく、
当時の今上天皇であった、平成天皇(上皇陛下)が、
「奇跡の魚(うお)」として、功績を讃え、
さかなクンの名前を出された事を、
記憶されて居る方も、きっと多いと思います。

では何故、クニマスは故郷の田沢湖から、
遠く離れた富士五湖の西湖で発見されたのでしょうか。
今日は、この事について書いていきたいと思います。

前の投稿の最後で、子孫を守るべく、
日本各地に、受精卵・発眼卵を移入させた―。
と、書きました。その一つが、西湖だったのです。

前記の通り、田沢湖は水深があるので、
水深が浅い湖沼は候補から外されました。

なので、移入されたとされる湖沼もまた、
それなりに水深のある湖沼が対象になっています。

西湖のほか、その隣にある本栖湖。
長野県の野尻湖。ほか、富山県内のある場所に、
移入したと云う記録が残っています。

クニマスが田沢湖の固有種とされた一方で、
クニマスは、同じサケ科である、
『ベニザケ』の、陸封個体であることも付記されました。

ベニザケの陸封個体として広くしられているのは、
『ヒメマス』ですが、
西湖・本栖湖は、このヒメマスの養殖と、
放流による繁殖にも成功したばかりか、
西湖周辺には、正に田沢湖周辺にゆかりのある、
『三浦』姓の方が多くいらっしゃいます。

その伝手を辿って、当時の組合長であった
やはり三浦さんが(お名前までは存じあげない)、
同じく西湖の組合長であった三浦さんに、
書状を添えて発眼卵10万粒を託したのです。
同じく、本栖湖にも10万粒が託されました。

一方、西湖ではヒメマス釣りが盛んで、
春と秋との2回、解禁されるのですが、
特に春解禁の折、
全身が黒いマスが、たびたび釣り上げられました。

が、食味が良くなかった為、
再放流されるケースも多く、
元では、『クロマス』と、呼ばれ、
ヒメマスの変わった個体―。と、云う認識のまま、
時を重ねていったのです。

そんな中、1995年から史実に基づいて、
懸賞金を付けて、「クニマスを探して下さい―」と、
云うキャンペーンが始まりました。

その背景には、魚の住めない湖であった田沢湖の水を、
ある程度中和させてから引き入れる施設が稼働し、
水質の改善が図られ、結果、
酸性でもある程度は棲息できる「ウグイ」などの魚影が、
戻って来た事に端を発し、

再び、クニマスを故郷の田沢湖に蘇らせる―。
と、云う願いを込めて行ったキャンペーンでした。

が、最高500万円まで
引き上げられた懸賞金も効を奏さず、
14個体が持ち込まれたものの、
全てが「ヒメマス」で、あったと云う鑑定が出て、
ついに、クニマスは絶滅のまま、
このキャンペーンは終了します。

当時自分はまだ、釣り具店に勤務していましたので、
懸賞金目当てで、何度も釣りに行った記憶があります(^_^;)
が、実はその当時から、
クロマスは間違いなくクニマスだ―。
との、確信を得ていた方が、
西湖漁協にいらっしゃったのです。

そこに目を付けたのが、
京都大学の中坊教授でした。

より正確なクニマスの絵を描いて保存する―。
と、云う目的で、敢えてさかなクンを指名します。
そして、絵を描く参考として、
ヒメマスを西湖漁協から取り寄せる様にと、
アドバイスを送ります。

依頼を受けた漁協は、刺し網で捕獲した個体の中に、
敢えて「クロマス」の、個体を紛れ込ませます。
それを見たさかなクンは、クロマスが余りにも、
クニマスに酷似している事と、
もしかしたら本当のクニマスである―。
との、見解を引き出すのです。

そしてついに、2010年にクニマス発見のニュースが、
一気に全国に広まったのでした。

通常は、先に学会に報告するのがセオリーの様なのですが、
中坊教授は、学会や書籍でのリリースを敢えて避けて、
マスコミによって、その事実を公表する事となった―。
と、聴いています。

実は、前記のエピソードは、
その仕掛け人たるご本人から、
直接、伺った話ですので、間違いないものと思われます。

そして、クニマスは絶滅種から、
野生絶滅に記載が変わり、今も西湖で命を繋いでいます。

そしていつの日にか、また田沢湖に、
キノシリマスが戻る日が来るかもしれません。

※尚、西湖漁協様の名誉を守るため、
 お名前も記載しませんし、一切の取材をお断り致します。









2020/09/12 9:06:01|トピック
奇跡の魚『クニマス』1 辰子伝説
上の写真は、秋田県仙北市にある、
田沢湖のほとりに立つ、「辰子像」と、云います。

田沢湖と云えば、
かつてこの湖の固有種であった「クニマス」の事、
あなたは、ご存じでしょうか?

このクニマスが、田沢湖にもたらされた伝説として、
写真の『辰子伝説』が、伝えられて来たのです。
クニマスには、別名と云うか俗称があります。

その名は『キノシリマス』です。
キノシリは東北地方の方言で、
薪の燃え残り(木の尻)の、事だそうです。
魚体が黒くくすんだ魚影は、
昔の人の目には燃え残った黒い木の尻にしか、
見えなかったのでしょう。

このキノシリマス誕生の逸話が、
辰子伝説に込められているのです。

辰子は絶世の美女で、その美しさを永遠に保ちたいと、
神に願掛けします。そして、北へ行けば、
美しさを保てる水が湧く泉があるとのお告げを受けます。

お告げを受けた辰子は、その泉を探す旅に出るのですが、
途中の川で黒い魚影を見つけ、それを焼いて食べました。
その魚はこれまで食べたことの無いくらい美味しく、
何本も食べました。やがて、喉の渇きを覚えた辰子は、
綺麗な湧き水を見つけ、その水を口にします。
しかし、飲んでも飲んでも渇きは潤う事がなく、
そして辰子は、いつしか「龍」に変わってしまうのです。

その泉が田沢湖であり、
辰子が食べた魚がクニマスでした。
龍になった辰子に投げた松明が、
黒い魚体になって泳いだと、伝えられているのです。

以降、辰子は田沢湖の龍神様として祀られます。

その伝説を語り継いでいくために立てられたのが、
写真の辰子像であり、辰子観音と云う観音像もあるそうです。

さて、かつての田沢湖は、
電源開発開発と農地開拓開と云う、
表向きには、国策―。と、された開発により、
上流にある玉川温泉から湧き出る、
強酸性の毒水が引かれる事となり、
棲息していた生きもの殆どが、死滅してしまいました。
1940年、昭和15年の事です。

現在であれば、当然反対運動やデモが起こり、
政策を阻止する事も可能だったかもしれません。
しかし当時は、太平洋戦争に向かう中で、
電源を確保する事業を阻止するなどは非国民とされ、
下手をすれば逮捕される恐れもある中で、
地域地域住民は、受け入れるしか術がなかったのでしょう。

そして、住民が最も守りたかったのは、
田沢湖にしか棲まず、地域の宝であった、
キノシリマス(クニマス)だったとされています。
そのキノシリマスも、国策の結果、
『絶滅』の、運命を迎えてしまった訳です。

クニマスは滋味に溢れ、妊産婦や病後の滋養には、
うってつけの食材で、高価であったそうです。
その貴重な魚を何としても守り抜くため、
当時の方が、ある秘策を思いつきます。

それは、クニマスが生き残れる可能性がある、
国内の候補地に、受精卵・発眼卵を移植し、
子孫を残すと云う試みでした。

明日は、クニマスの避難先として、
絶滅から脱するまでのお話しを書いてみたいと思います。

上手く書けるか心配ですが、
知り得る知識を総動員して、お伝えしたいと思っています。







2020/09/11 9:06:01|お魚紹介
カツオはやっぱし戻りが良い!!
昨日の投稿で一本釣りを紹介したので、
今日は、その主役の『カツオ(鰹)』を、紹介します。

カツオと言えば、
目に青葉 山ホトトギス 初鰹―。
の、句にある様に、
初夏が旬と云うか、最も美味しい時季だと、
思われている方も、きっと多いかと思います。

が、カツオはやっぱり、
『戻りカツオ』を、食さなければ、
本当の旨さは分からないと思います。

確かに、若いプリプリした初鰹は、
活きを食す―。には、うってつけの味。
けれど戻りカツオには、
脂が乗りきった、深い味わいがあるのです。
個人的には、カツオはやっぱし戻りが良い―です。

初鰹と戻り鰹って、何がどう違うの?って、聴かれれば、
どっちも同じカツオなのですが、
黒潮をお供の長い旅の道のりの違いなのであります。

カツオは、黒潮に乗って北上するのですが、
春から始まった旅が、
丁度、新緑が一斉に芽吹いて、
高知の沖辺りに到達すると、
『往きの初鰹』と、して採捕されます。

一方、宮城沖の金華山辺りから、
今度は、南下を始めます。
この頃には、うんと脂が乗って、
『戻りカツオ』として、採捕されるのです。

ところで、今シーズンはサンマと同様、
カツオの漁獲高も不漁なんだそうです。
初鰹の漁も、今ひとつだった様ですが、
やはり、上った魚が少ないからか、
下ってきた戻りカツオも不漁なんだとか!?
なので、今年は戻りカツオも食べられないかも・・・(涙)

もうかれこれ、20年以上も前の事ですが、
以前の釣り具店勤務していた、
静岡県時代に職場の近くに回転寿司店がオープンしました。

海の近くのお店ですから、
当然、ネタも豊富で、
回転寿司だからリーズナブルだろうと、
お店が終わってスタッフで行った訳ですよ。

で、10月頃だったから、当然あるだろうって、
「カツオ握ってくれる?」って、注文したら、
何て言われたと思います?
「今、時季じゃないんで捕れないから無いですよ」って、
いけしゃーしゃーと言い放たれてしまいました(>_<)

それ以来、回るお寿司屋さん不信が続きました。
が、その店、オープンして半年も経たないうちに閉店―。
相当、クレームあったんでしょうね〜。

あれから20年―。
今や、回転寿司店もそんな無知なお店はなくなりました。
戻りカツオにはプレミアも付いちゃって、
美味しいお店が増えましたとさ(^^)








2020/09/10 9:06:01|ニッポンの釣り
男なら一度はやってみたい釣りはコレだ!!
数ある魚釣りの中でも、
男たる者、やっぱり一度はやってみたい釣り―。

それは、なんと言っても、
「カツオの一本釣り」です!!

なぶらを見つけたら、イワシが跳ねる様を演出する、
「水しぶき」を、海面に放水することで、
カツオが一気に集まって来ます。

それを、竿一本と自分の腕っぷしの力だけで、
2`余りもある、カツオを豪快に釣り上げる。
しかも、板子一枚下は、黒潮洗う太平洋(^o^)/

後ろに放り出されて、
空中高く舞い上がったカツオが、
上で針が外れて、甲板の上で踊り狂う様は、
正に男の漁場に相応しい!!
コレ、やっぱり憧れてしまいますよね〜。

竿は棒高跳びのバーとほぼ同じ素材(グラスファイバー)の、
5bほどもある長い竿。
針は、「カブラ」と呼ばれる、
魚皮などをあしらって、
ルアー効果で食わせる擬餌針で、カエシは付いていないので、
放物線のてっぺんで針が外れて、
そのまま甲板に放り込まれるのです。

ところで、この一本釣りですが、
遊漁船で、僅かにやらせてもらえる所はあるのだけれど、
やっぱり、絶えず危険と隣り合わせなので、
もしやるとしたら、カツオ船に乗るしかないのかなあ!?

そのカツオ船も、今では外国の方が多く、
一本釣りも、だいぶグローバル化しています。
けれど、男だったら、自分の体で勝負したいっしょ!!

でも、きっと船酔いしちゃうだろうなあ(>_<)







2020/09/08 9:06:01|お魚のふ・し・ぎ?
美しいのに腹黒い魚です!!
「あの人、腹黒いよね〜!!」
のっけから、穏やかでは無い書き出しですが、
欲深く、意地の悪い人を例えて、
こんな言い方で揶揄する事がありますよね。

特に見た目は、とてもそんな人には見えない、
優しそうな人、穏やかな人の、
予想だにしなかった黒い一面を、
知ってしまった時に使われます。


では、「あの魚、腹黒いんだよね〜」
って、言われたら、一体どんな魚だろう・・・。
きっと、そう思いますよね。

毒があるんじゃないか!?とか、
きっと臭いが酷いんだよ!?とか、
そんな魚は決して食べたくない―。
そんな風に考えてしまうのではないでしょうか?

が、しかし、その腹黒い魚が、
メッチャ美味しいお魚だとしたら、
食べてみたいって思います?

それとも、
やっぱり、食べるのはやめておこう。
って、思うでしょうか?

いずれにしても、腹黒いとは、
どう云う意味だと思われるでしょうね。

さて、写真のお魚は、サヨリと云う魚ですが、
何を隠そう、このサンマにも似た、
ピカピカで美しい魚体のこの魚こそ、
お腹の中が真っ黒な魚なんです。
いやあ、見てみると一目瞭然なのですが、
相当、黒いです。いやあ、黒い!!

でも、美味しい、ホントおいしいお魚なのです。
回らないお寿司屋さんのひかりものとして出て来たり、
上品なお出しのなかにクルンと結ばれた
片身が入ったお吸い物とか、

サンマとは逆で、
庶民って云うより、セレブが好むようなお店で、
食べられているイメージです。

ちょっと前の投稿では、
このサヨリにパラサイトする、
『サヨリヤドリムシ』を、紹介しましたが、
このパラサイトのせいで腹黒くされた訳ではありません。
不思議な事に、始めから黒いんです。

では、何故サヨリの腹が黒いのか、
少しお話しさせて戴きたいと思います。

写真をクリックして、魚体を良く見てみて下さい。
ピカピカしていますが、
それ以上に青っぽく透き通って見えませんか?
実は、この透き通る様な魚体にこそ、
腹黒い原因が隠されているのです。

サヨリは、見ての通りくちばしの様に、
長い口をしているのは、見ての通りなのですが、
どっちが長いかと云うと、
下顎の方が、極端に長いのです。
いわゆる、超受け口をしています。

なんでこんなお口かと云うと、
サヨリは主に海面近くにいる、
プランクトンを食べています。

プランクトンが主食のお魚の事を、一般的に、
「プランクトンフィーダー」と、云いますが、
魚体に合わせて、効果的に食べられる様に、
進化をする訳です。

その際、下顎が長い方が、
海面近くの餌を、掬い取り易いからなのです。
分かり易く例えると、
下顎に、柄杓がくっ付いた形なのです。
面白いでしょ!?

そんな魚なので、日光の影響を受け易い訳です。
そのため、日光の透過により、
魚体が熱に晒されないようにするために、
腹の黒い部分で、遮光してるらしいのです。

腹黒い魚にも、ちゃんと訳があるんです。
「いやあ、お魚って本当に不思議ですよね。」