中部横断自動車道の開通で、
より身近になった、
山梨に最も近い海『清水』―
その清水港に10年前まで浮かんでいた、
メガフロートを利用した
『清水港海釣り公園』が、
あった事を覚えていらっしゃいますか?
また若い方には、知っていらっしゃいますか?
改正ソーラス条約の施行で、
全面的に釣りでの立ち入りが禁じられた清水港。
そこに、
釣り人が船でアクセスする形で実現した、
巨大な海釣り公園があったのです。
先日、昔の写真をあれこれ見返していたら、
1枚の何も書いていないDVDーRの
ディスクが見つかりました。
これ何のDVDだろう・・・

と、何気なく再生してみたのです。
そしたら、自分がかつて出演させて戴いた、
釣りビジョンの番組を録画した映像だったのです。
番組出演から数年後、
環境教育の指導者が集まるイベントがあって、
釣りで環境教育を実践している自分に、
主催者側からパネラーとして登壇戴けないかと、
オファーを戴いた事がありました。
その席に釣りビジョンの社長(当時)様も、
パネラーとしてご登壇されました。そして、
この映像を見ながらパネルディスカッションを、
した事を思い出しました。
番組は、全国各地の海釣りポイントを紹介するもので、
この回以降、東海エリア限定の番組に再編されました。
もう卒業されてしまいましたが、
当時、釣り番組のアシスタントをされていた、
O・Hさんと、海釣り公園で、
クロダイのダンゴ釣りをした時のものでした。
今も所属させて戴いて居りますが、
当時、海釣り公園の運営に関わっていた、
『駿河湾海を守る会』のインストラクターとして、
出演させて戴いたのです。
同会には清水で腕を磨いた、
ダンゴ釣りのスペシャリストたる先輩方が、
何名もいらっしゃる中で、
「喋れるから・・・」と、云う理由で、
僭越ながら、お声を掛けて戴いたのです。
運良く3枚の良型クロダイを釣る事ができ、
なんとか番組は無事にOAされました

まあ、こんな昔話はともかく・・・
今、
あのメガフロートが、何処に行ったか―

お出かけになった事がある方には、
ご存じの方も、きっと多いかとは思います。
が、そこに海釣り公園があった事も、
知らなかった世代も増えていますので、
改めて、お話しさせて戴きたいと思います。
行った先に起った事故から、
10年と半年が経ったタイミングで、
不意に見つかった海釣り公園の映像―
これは、行った先の復興と、
これからの清水の事を、
「お前が喋れ!!」と、
何だか云われて居るような気がしたんです。
前置きが長くなってしいまいましたが、
あの
メガフロートは福島県に行きました。東日本大震災で起った津波により、
未曾有の大災害となってしまった原発事故―
その当時は、
今より放射線レベルが高い汚染水を、
どう処理するかが問題になっていました。
海に放出する訳にはいきませんから、
何か大量に貯められる
「器」が、必要だったのです。
そこに白羽の矢が立ったのが、
このメガフロートだったのです。
メガフロートはバランスを保つバラストとして、
中に海水を貯めてあります。
それを潮位や風浪によって起る揺れを、
中に水を入れたり、放出したりしながら、
バランスを取る訳です。
なので、急を要す案件だった事もあって、
オープン後、着実に来客数を伸ばしていましたが、
海釣り公園は、
東京電力に譲渡する形で
曳航されて福島県へ向かったのです。
ですから、この
メガフロートが、
最大の国難を救ったと云っても、
決して過言ではないでしょう。
ですが、汚染水は今も増え続けて居り、
汚水を貯めるタンクも限界となりつつあります。
そこでついに政府は、
トリチウムを含んだ処理水を、
飲料水レベルまで薄めた後、
海に放出する事を決めました。
当然、風評に苦しむ漁業者の方々からは、
絶対反対の声があがった事は、
多くの皆さんもご承知の事でしょう。
が、先送りできる状況ではなく、
批判覚悟で、菅内閣で決着を付けたのです。
コロナ対策では混迷を極めてはいますが、
非常に大きな政治決断であったと思いますし、
これについては異論も反論もあるでしょうが、
一定の評価もあって然るべきでしょう。
但し、絶対に風評被害が再発しないように、
しっかり取り組んで下さい。
そして、あのメガフロートはその役目を終えて、
ひっそりと埋め立てられるそうです。
日本の危機を救ったあの建造物に、
心から感謝したいですね

その後、再び釣り場を失った清水でしたが、
多くの方々の尽力により、
先に紹介した、
日の出ふ頭の開放を実現させました。
だからこそ、釣り人はルールを守らねばなりません。
こうした努力が実を結び、
今、清水では、新たな釣り場の造成に向けて
計画が着実に進んでいます

この新しい展開については、
また明日、お伝えする事にしましょう!!