自分がまだ釣り具店勤務だった時の話しです。 静岡県内の店舗に勤務していた頃、 春先になると、なぜか『トリック仕掛け』が、良く売れました。 『トリック仕掛け』は、ご存じの方も多いと思いますが、 釣りを余りした事がない方も、 このブログを見て下さって居るようですので、 改めて説明させて戴きますね(^_^)v
トリック仕掛けは、サビキ釣りの仕掛けの一種で、 仕掛けの軸となる「ミキイト」に、小さなハリが、 7本〜10本程度、「エダス」に付いていて、 仕掛けの一番下に「オモリ」を付けられる様になっています。 この様な仕掛けの形を「胴突き仕掛け」と、云います。
サビキ仕掛けは、このハリの部分が『バケ(疑似餌)』に、 なっていて、撒きエサ(コマセ)を撒いて、 それに集まって来た魚を釣る仕掛けの事を指します。
その中で『トリック仕掛け』は、 極端にハリが小さく、エダスも短くなっていて、 金バリまたは、銀バリとミックスになった、 カラバリ(ハリのみ)が連なっています。
豆アジ(マアジの幼魚)などが釣れ始めると、 群れにこの仕掛けを入れて仕掛けを動かすだけで、 ルアー効果を生み、魚が釣れるため、 コマセが少量、または不要となって、 豆アジの鮮度が保たれるのです。
故に、ハリだけで釣れるので、 『トリック仕掛け』と、命名された仕掛けです。
それでは、話しを戻しましょう。 春先に盛んに売れたトリック仕掛けでしたが、 まだまだ豆アジの接岸の時季―。 と、云う訳ではありません。
立春を過ぎ、ようやく春の暖かさを、 感じられ始める頃なのです。 今はまだ寒中なので、その時季には少しありますが、
自分が静岡に行って初めて迎えた春先に、 どうしてコレが売れるんだ!? 謎でしたし、不思議でした。
で、思い切って、お客さんに尋ねてみました。 「もう、豆アジが釣れ出したんですか?」って・・・。 すると、「チョウセンイワシだあ!!」って、 仰るんです。「チョウセンイワシ???」 その名前に、とんと聞き覚えがない自分は、 「そんなイワシいるんですね」と、云うと、 お客様は、ニッと笑って、「居るよ!!」って・・・。
それからもう「チョウセンイワシ」が、 気になって仕方がありません。同僚に聴いてみると、 同僚もまた、知ってる人は不適な笑い―。 知らなかった同僚は、最初の自分と同じ反応―。
で、「今度の休みに行って見て来な!!」と、 安倍川の河口にほど近い某魚港の堤防を、 当時の店長が教えてくれました。
で、トリック仕掛けを使っていそうな人を、 チラチラ探しながら堤防を歩いていると、 ・・・いらっしゃいました。
その方のバケツは何故かカバーがされていて、 中身が見えません。否、見せていないんですね。 釣り人ってボウズが嫌なので、 釣れてる証拠を誇示するためにも、 バケツはオープンの人が多いのに、 なので、ここでも・・・???
そして、思い切って、 「チョウセンイワシ釣れてますか?」って、聴くと、 ちらっと蓋を開けて見せてくれました。 バケツの中には、記憶では十数匹は居たと思います。 ピチピチ元気に泳ぎ回っていて、 「ウン?、これって・・・」 「チョウセンイワシじゃんか」って、念押しされました。
なので皆さん、このブログでもし正体が分かっても、 このお魚は、『チョウセンイワシ』と、云う事でお願いします。 春のささやかな、釣り人さんの楽しみなので、 釣れる量も全体からしたら、ほんの僅かですので、 どうか、『チョウセンイワシ』のままお願いします。
上の写真が、その『チョウセンイワシ』です。 全体が写ってると、バレバレなので一部切りました。
このお魚は川で生まれて、 海に降ってプランクトンを食べ成長し、 おおよそこの位になると、再び大挙して群れを成し、 川へ登っていくのです。
海に居る時は、プランクトンを食べるので、 『トリック仕掛け』が、良いのです。 また、この魚、内臓も味のうちなので、 ほろ苦い春の味わいとしても、コマセの臭いがしないよう、 敢えて『トリック仕掛け』で、釣られていたって事でした。
このお魚は川では、別なものしか食べなくなるので、 一年一度のほんの僅かな期間だけ、 『チョウセンイワシ』と、命名されるのでした(^_-)
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