山梨子ども図書館の本年度総会に参加してきた。 子どもの本の専門家講座が始まって9年になるだろうか。 講師も一流、年間90分×2講座を20回ほどもやってきた。 聴講者に実費負担はしていただくものの、こういうレベルの高い子ども読書専門の勉強会は、日本広しといえどもそうはないだろう。 図書館はもちろん、地域や教育機関に根付いて、子どもに手渡す本を選書できて、実際「手渡す」(これは広義で使うが)活動もできる「ひと」の養成は重要なテーマだ。
総会終了後、昨年11月に移転新設された山梨県立図書館についての現状報告があった。 周辺では既に承知の通り、図書館は土日のショッピング・モール並みの混雑である。 「もう図書館行ったケ? 利用者カード作ったケ? まだ行ってインサ テッ!」というのが、一時、挨拶文句になった。
閲覧席で学習する高校生から大学生がむやみに多い。 が、図書館資料をそれほど活用しているわけではない。 高齢者の新聞・雑誌読み、居眠り。 かけっこする子どもたち。 構想段階からあった「賑わいの創出」には大成功しているわけだ。 疑問だったけれど。
これまた構想にあった「交流」はどうか。 交流スペースは、主に外部の様々なテーマのグループに貸与されている。 図書館として「交流」を造ろうという余裕も意思もなかろう。 図書館はもともと平等なる「個人利用」が前提である。
館長も唱え、前々からの課題だった「ひと」の件は? 正規の司書職は増えてはいない。 むしろこの7年間減り続けている。 地域資料について司書にレファレンスをしたいが、気の毒で、まだできないでいる。 よほど待つ気なら可能なのだろうが。 以前に倍する施設を作り、施設・資料、人材の有効活用をしてもらおうというには、県当局の意識はいかにも低すぎる。 ことに「ひと」と資料費のテーマにおいて。 今所属している司書たちは、心身共に大変なオーバーワークになっているだろう。
館長は「民度の向上」と言っているようだが、この地域で、それ以上に必要なのは「官度の向上」なのではないかと、常々思っている。 このままでは、「繁盛しているから、大成功だ」というトンチンカンな評価に陥りそうだ。 この人不足を、民間人の非正規雇用で補填しようという道筋もアブナイ。 知らぬ間に我々が否定してきた道をたどっているのでは、困る。
まだまだ全国に自慢できる「県立図書館」への道のりは遠い。 |