『蒼穹(そうきゅう)の昴(すばる)』25回を観終えた。
DVDを借りてきて、順次観たのだ。
大河であろうが、朝ドラであろうが、テレビのドラマなどまず観ない私は、いつも回がかなり進んでから、面白いと気づくことが多い。
それも外国の歴史ものだ。
原作の歴史小説までは読む気はない。
『チャングムの誓い』などというのもそうだった。
初めて観たのは、韓国のホテルだったが、相変わらず大げさな歴史ドラマをやっているなと思ったくらいだった。
日本で途中から見始めたら面白くて、放映されるのを待っているだけでは物足りず、DVDを次々に借りてきて観たのである。
これは大変だった。
たしか54回もあったし、観始めると次の回は、次の回はと気になるものだから、目にヤニが出るほど観続けて、納得した。
TVでの再放送も観たから、全編を都合3回は観ているはずである。
ことに食いしん坊な私には、宮廷の台所風景や調理場面、それにパンソリがたまらなくよかった。
宮廷内の権謀術数などはどうでもよかった。
『蒼穹の昴』も、すでにBS放送では完結していたようである。
地上波で放映し始めて数回して、私は気づいた。
そうなったら矢も盾もたまらぬ、ツタヤで借りては観続けた。
新作だからDVDも安くない。
しかも、古いデッキで観ているものだから、吹き替えがうまくいかず、中国語の音声と、隠れかけた日本語字幕で観続けた。
私には何が面白かったかと云うと、「満漢全席」料理ではない。
田中裕子演じる西太后の、老獪でいて単純な役どころも実によかった。
宦官と云うものや科挙と云う存在を具体的に見られた思いもした。
元祖草食系とでもいいたいような光緒帝も、科挙トップの「状元」のわりには直情径行すぎる梁文秀も興味深かった。
また、健全すぎるほど健全な女たちの中に、一人例外的なミセス・チャンの目や唇のお色気。
日清戦争前後の中国の対日観……。
面白さは数々あったが、私がいつも首を長くして待っていたのは、主人公の一人と言っていい宦官で、西太后のお気に入りだった春児(李金連)らが演じる京劇の場面である。
私はあのミャアミャア言う京劇のせりふ回しと、後ろの賑やかな囃し、女形の厚塗りがたまらなく好きなのである。
京劇の女形の目元などのリアリズムではないあり得なさが、歌舞伎の女形よりぞくぞくする。
残念なことに、全編を通じて、京劇の場面はさほど多くはなかった。
またもや、京劇熱が復活しそうで、とりあえず、チャン・カイコー監督の2作『さらば、わが愛・覇王別姫』を観直し、最近の『花の生涯・梅蘭芳』を新たに観ようと思っている。
それに上海京劇団の日本公演も観に行くことに決めた。
今は旅行のアルバムの中から台湾で観た京劇公演の写真などをひっくり返しては、慰めている。
写真:台北戯棚(タイペイ・アイ 台湾)のロビーにて