新聞、雑誌等に書いたもの、どっかでしゃべったこと、書き下ろし……の置き場です。 主に文学・歴史関係が多くなるはずですが、何にでも好奇心旺盛なので、どこまで脱線するか?!。 モノによっては長いのもありますが、興味のあるところから御覧下さい。
 
「山梨日日新聞」の「時標」欄に
 今日(2011年2月13日)の「山梨日日新聞」2面「時標」欄に記事を書きました。
つけていただいた見出しは「電子書籍 嫌わずに共存の道を」というもの。

 私、大きな危機感を持っているのです。

 コストもかかって儲からない出版事業は、おそらく衰退するだろう。
それに替わる「電子書籍」は、どうでもいいクオリティのものから「電子化」されるだろう。
ことに、日本の市場においては。
これじゃ、日本の古来の書籍もグーグルにスキャンされた方がよかったんじゃないのか。
小中学校の教科書が「電子書籍」って、本気なの?
子供から大人まで、ますます本から離れやしないか?
必要だと思っても、本は入手困難になりやしないか?
せめて「電子書籍」が、図書館での情報取得の利便性や視覚障害者のそれへのバリアフリーになってほしい、と祈るばかり。
そして、極貧出版社猫町文庫のブックレットの生き残れるチャンスとなるように、と。

 そんな思いを込めて書いたのです。

 写真は映画「食堂かたつむり」で手作りの料理レシピファイルを見る倫子(柴咲コウ)。







2011/02/13 10:22:31|文学
97歳の物書き
 雑誌「猫町文庫」の会員の最高齢といえば、おそらく樋口一葉研究家の荻原留則さんだろう。
「おそらく」というのは、いちいち皆さんに年齢を伺って入会していただいている訳ではないからだ。
なにしろ、荻原さんは、大正3年生まれだから、今年97歳のはずだ。

 荻原さんは戦前、戦中期「谺(こだま)」という山梨の文芸誌に参加していた。
私は以前から、当時の山梨の若き物書きや知識人の結集したこの雑誌に関心を持っていた。
深沢七郎もメンバーで、私が『深沢七郎ラプソディ』に紹介した、厭戦的な長歌、反歌などを発表していたことも、関心の縁だった。
今度、知ったのは、荻原さんと深沢七郎は同じ年、同じ「東郡(ひがしごおり)」の生まれだったのである。

 今出ている「猫町文庫」第2集に、深沢七郎の親友だった石和の太田孝の文章を載せた。
荻原さんは、それに触発されたのか、「谺」での深沢七郎とのつきあいの一端を8枚ほどにまとめて、送ってきてくださった。
初めて知ることばかりではなかったが、またまた、若き七郎の素顔を知る証言を得られて、私はとてもありがたく思った。
と、同時に97歳で、文字こそ、病み上がりで乱れてはいるものの、過不足のない、推敲の跡もきっちり残る文章に、感動を覚えた。
しっかりしなければいかん、と叱咤された思いでもあった。

 この文章は「猫町文庫」第3集に掲載させていただこうと思っている。

 「猫町文庫」が、地域を超えた、老若男女の、文学畑にとどまらない各ジャンルの方々の「ことばによる表現」の結集であれば、と思う。

写真は荻原留則著・新装版『樋口一葉と甲州』(山梨ふるさと文庫刊)







2011/02/12 13:17:56|「純喫茶」
スィーツinカフェ・プラド
 過日も紹介したカフェ・プラドのもう一つの名物は、奥さんの作るスィーツだ。
お茶を飲んでいると、これだけテイクアウトする方も、けっこう多い。
これは前の店でもそうだった。
コーヒにも軽いマカロンはつまみにつくが、ケースの中のケーキ類や焼き菓子類は、どれもおいしい。
一番人気は、写真と違うが、モンブランのようだ。

 今度の雪は、河口湖畔ではさぞ多かったろう。







2011/02/12 13:07:21|山梨
山梨のイメージ
 他県の人が持つ甲府(というか「山梨」)のイメージ話の続編である。

 用事があって東京などへ行くと、
「遠いところから、わざわざ……」
としばしば言われる。
同じ経験をした人もいるだろう。
こちらとしては、実際、
「いえ、新宿まで1時間半ですから、遠いというほどでも……」
と思うし、初めのうちは、いちいちそう言っていたのだが、
東京で会う人、会う人が皆そう言うので、面倒臭くなって、
いちいち否定するのを止めた。

 山梨には、よほど遠隔の土地のイメージがあるのだろう。
「中央線」といっても、八王子から西なんて利用したことなんてないのかもしれない。
そう言えば、もう亡くなったが、ある年配の東京人は、中央線のことを「お山の汽車」なんて言っていたもんな。
悪口ではなく、本当にそう感じていたようなのだ。
電車で来たことのある人も、
「山を幾重も幾重も分け入って行くイメージですね、その向こうに桃源郷があるという」
などと言う人もいる。
それが「やまのあなたの空遠く、幸い住むと人の言う」ハッピーな、明朗なイメージに結び付く人と、
「なまよみの甲斐」の陰鬱な、暗いイメージと結びつく人とがいるようだ。

連山が幾重の円を描くなかの甲斐の国府の長き町かな(与謝野晶子)







甲府の初雪
 からからに乾いていたが、立春を過ぎた先日は、霧雨のような雨が降った。
梅も咲き始めた。
今朝からは、甲府の今年の初雪だ。

 よその土地へ行くと、よく、
「甲府の雪はどうですか?」
とか聞かれることが多い。
よほどの山国、僻遠の地と思われているらしい。
幸い、「青垣の」山々に囲まれた甲府盆地は、
古来の都のあった各盆地同様、
雪も少なけりゃ、自然災害もさほど多くはない。

 午後の今も、雪は静かに降り続けている。
これでいくらかは地面や空気が潤って、過ごしやすくなるかもしれない。

袖ひぢてむすびし水の凍れるを
春立つ今日の風やとくらむ


 夏、冬、春を詠みこんだ、技巧的で有名な歌だが、
季節の変化に向けられた古人の素朴な驚きは出ている。

 どれ、こういう天候の中では、うろうろせずに、ストーブの前で、新年度用の教科書の原稿でも、校正しておくこととしよう。
これをやっておけば、果たして、毎回の講義資料のプリントの手間が、少しは軽減するのだろうか?
それにしても、新年度の講義開始までに間に合うか?