寒の入りを過ぎたと思ったら、今日は、もう七草。
甲斐善光寺の壇信徒の善男善女(というより善爺善婆)が恒例の粥をふるまわれたというニュースをテレビでやっていた。
引き続いて、大きなハンコ状のものをてんでに頭にくっつけてもらっている。
それをみて、
「こりゃ、落語の『お血脈』そのままじゃないか」
とおかしくなった。
私は落語「お血脈」を、晩年の五代目古今亭志ん生のひょうひょうとした語りで聞くのが好きだ。
試聴こんな噺。
地獄へ落ちてくる亡者がこのところ少ない。
経営危機を感じた閻魔さまが調べると、信濃の善光寺でひとり一分で「お血脈」のハンコを額に捺す「御印文頂戴」が流行っていることがわかる。
捺された者は揃いもそろって極楽往生してしまう。
閻魔さまはハンコを盗み取ってしまおうと考えて、亡者の中から人選したのが石川五右衛門。
五右衛門は「お血脈」のハンコをまんまと盗み出すが、カッコウをつけて、
「アァありがてえ、かっちけねえ。まんまと善光寺の奥殿へ忍び込み、奪い取ったるお血脈の印。これせえあれば大願成就、アァありがたや、かっちけなやァァ!」
と唸り、ハンコをおでこに当てがって見栄を切ってしまう。
とたんに、石川五右衛門もめでたく往生するというサゲ。
甲斐善光寺の善爺善婆も、首尾よく極楽浄土へ迎えられるに違いない。