東京へ出たついでに銀座天一へ寄る。
秋も深まって、おいしいネタもあるんじゃないか、と思ったのだ。
揚げ場に立ったのは、いつぞや年かさの板前の脇を務めていた若い人。
心配したが、揚げは合格。
旬のスミイカも軟らかかったし、ホタテ、シイタケもびっくりするほど肉厚でジューシーだった。
マツタケなんてぜいたくもしてしまった。
客との会話は、まだ、ぎこちない。
がんばっている感ありあり。
が、馴れ馴れしくもないし、気兼ねというほどでもない。
隣に銀聯カードの中国人の夫婦もの(らしい)。
「塩ソルトね」とか「つゆソースね」「カレーパウダーね」と指示されながら食べて、感に堪えている。
「外国のひと多いの? このごろ」
「多いですね。助かります」
この老舗でもそうなのか。
「おとなりの国とか?」
「多いですが、ヨーロッパなんかからも見えますね」
……
「中国の方など、7,8人で来て、最初にお出ししたクルマエビが美味しかったから、各自10本ずつとかおっしゃるんです」
「油温下がっちゃうね」
「下がっちゃうし、間に季節の畑のものも挟んでくれた方が美味しいと思うんですけれどね、エビの後はタラバばかしとか」
「金持ちなんだね」
隣の男が、アスパラを大げさにふうふう吹きながら、熱さに顔をゆがめながら食べている。
日本人で、猫舌でも熱々のてんぷら食べられる程度で、本当によかった! と負け惜しみ。
銀座天一