新聞、雑誌等に書いたもの、どっかでしゃべったこと、書き下ろし……の置き場です。 主に文学・歴史関係が多くなるはずですが、何にでも好奇心旺盛なので、どこまで脱線するか?!。 モノによっては長いのもありますが、興味のあるところから御覧下さい。
 
2013/03/09 7:01:05|病を飼いならす
「国民を幸せにしないシステム」
もうすぐ2年になる。

2011年の東日本大震災、津波、福島原発の爆発。
テレビカメラの前で起こった爆発事故は、「もう、これで、この国も、終わりだ」という思いをさせた。
チェルノブイリだって1基メルトダウンなのに、福島では3基だ。

その後の「計画停電」という事態にも、私は「計画」どおりに曝された。
水、電池、ローソクさえもない。

私自身や同類の人々の命の綱である腎臓の人工透析システムは維持できるのか否か。
殆ど絶望的な日々だった。

そこへ孫が生まれて、嬉しいことは嬉しかったが、水も空気も、彼が将来にわたって健康的に過ごせるだろうか、と思えば、心底不安だったし、怖かった。
私には、ストレスの頂点だった。

終に襲ってきたのが、私自身の二度目の心不全(心筋梗塞)。
当初、私自身には意識がなかったのだが、文字通り、生死の境をさまようことになった。
「二度目の」と言えるからまだいいのか、「最後の」となれば言いようがない。

その後、長い長い入院生活だったが、私は何とか命をつなぎ、孫もどうやら腕白に育って、今にいたっている。

福島で、東北で生きている人々のことを忘れてはいけない。
亡くなった方々への鎮魂の祈りをおろそかにしてはならない。

報道によれば、2年経って、発端となった被災地や避難地、福島・宮城・岩手の方々の苦難やストレス、暮らしの問題は、何一つ解決されていない。
解決どころか、政府は被災地や原発から懸命に国民の目をそらせようとさえしている。
経済対策、外交問題、貿易自由化問題、増税案、オリンピック招致、教育改革等々。
被災地の方々の日日の苦難よりも、これらの方が大きい問題だとでも言いたいのだろうか。
あの政党が、戦後50年以上も維持し続けてきた「国民を幸せにしないシステム」は、またもや、堂々と、居丈高に繰り返されようとしている。

何も行動せず、こういうところでオダばかりあげることの愚を承知している自分でさえ、国会中継や記者会見、対談番組など見ると、嘔吐感さえ催す。
内閣は、何人も総理の代役候補を抱え、おめでたい張本人は肩を怒らせ、中身の何にもない空疎な発言を、短い舌で繰り返すばかりである。
国民のレベルにあった政府しか持てないとは、まったくこういう情けないことをいうのだろうか。

国民はどれほど侮られているのだろうか。
その「国民」の代表が我慢強い東北の人々だ。

間もなくやってくる選挙の後、あれだけの惨禍をもたらしながら、国民の思いを無視しつつ、原発は、廃炉どころか、再稼働の方向が明確になるだろうし、新設もされるだろう。
公共事業は増え、農協役員は息を吹き返すだろう。
衣食住、医療のすべてに関わって値上げがされ、収入は減額されてゆくだろう。
憲法も改訂されるだろうし、近隣諸国とは小競り合いが起きるだろう。
教育現場はますます荒れてゆく。
企業実績はなにがしか取り戻せるだろうが、子ども、働き盛り、高齢者、身障者、病人は切り捨てられるだろう。
これらはすべて「利用者負担が3倍増、4倍増でいいな」という脅しと共に。

せめて梅一輪ほどの温かみくらいほしい。







2013/03/07 10:13:40|民俗・芸能
甲州夢小路イベント
甲府にオープンする観光施設「甲州夢小路」のイベントを、鏡味仙三君がプロデュースするむねのメールをもらったので、転載する。

@【甲州夢小路寄席】
 
◆3月24日(日)昼2時〜3時
◆よちゃばれ広場特設テント(甲府駅北口すぐ)
◆林家正蔵、鏡味仙三郎社中、林家たけ平、林家まめ平
〜落語と太神楽〜
◆木戸銭 無料
◆お問い合わせ アドブレーン社055(231)3311
 
 
A【林家正蔵独演会】
〜甲州夢小路オープン記念〜
 
◆3月24日(日)夜6時〜8時
◆桜座(甲府駅南口から徒歩10分)
◆林家正蔵、鏡味仙三郎社中、林家たけ平、林家まめ平
〜落語と太神楽〜
◆木戸銭 前売り3000円、当日3500円
◆ご予約 桜座055(233)2031
 
 
B【江戸太神楽の町内回り】
〜甲州夢小路オープン記念〜
 
◆3月24日(日)昼11時ごろ〜夜9時ごろ
◆甲府駅北口・南口・中心部商店街
◆鏡味仙三郎社中
〜獅子舞・曲芸・紙切りなど〜
◆お問い合わせ 「江戸太神楽の町内回り」実行委員会 090(9952)1447







2013/03/03 11:24:00|アート
色匂ふ展
ご案内をいただいたので転載する。

今年初の展覧会は、地元山梨にて開催することとなりました。
5周年を迎えてから山梨では初の展覧会となります。
色匂ふ第27回展覧会「色匂ふ2013春 山梨」展
会期: 2013年3月15日(金)〜18日(月) 11時〜18時
会場: Gallery P(A) 甲斐市玉川254-6
参加作家: 小林広幸(漆)
        島袋克史・渡辺国夫(陶)
        和泉香織・伊藤太一・須藤泰孝・谷川亜希(硝子)
まだまだ寒い毎日ですが、もうすぐ暖かい春がやってきます。
7人の作家の春、華やかにお届けいたします。
詳細はまた徐々にブログなどにてお知らせいたします。
サプライズな出品もございますので、お時間がございましたら、是非お出かけくださいませ。
 
色匂ふ−Traditional and Modern Crafts of Japan−
URL: http://www.ironihofu.com
MAIL: info@ironihofu.com
BLOG: http://ironihofu.cocolog-nifty.com/blog/







2013/03/02 10:14:25|雑誌「猫町文庫」
「猫町文庫」第4集内容
「猫町文庫」第4集の全容がかたまった。
力作も揃い、前号を多少超えるボリュームだ。
オリジナリティの欠如しているもの、よそでも見られるもの、カウチに肘ついてお手軽に仕上げた文章などは、もはや同席できないな、と一定の満足感と共に思う。
校正も、最終段階とすべく、やや体調に不安もあるが、飼いならしながら頑張りたい。

〈エッセイ〉
石川 博   「生」の魅力 第三幕─舞台と現代美術をめぐる雑記
澤田精一   『変身』再読
佐藤信子   金子文子を顕彰する 「朴烈義士記念館」開館式へ参加して
相川達也    ギターと歩む B
廣田知子    みなと屋の夢二
〈戯曲〉
 水木 亮  祝 祭(第28回国民文化祭参加作品)
〈小説〉
三神   弘  どんぶり坂心中
和田ゆりえ  闇のなかの魚
都築隆広  赤羽物語(上)
〈評論〉
内田道雄   名取春仙と夏目漱石
磯部 敦      テキストを読むということ ─内田百閧フ二つのテクストから─
福岡哲司    深沢七郎への旅B   『甲州子守唄』、「ニセ札」つくり
〈資料〉
ミハイル・ブルガーコフ
           『巨匠と」マルガリータ』第2章 ポンチイ・ピラト
              解説・訳 石原公道
内田俊一    ある陸軍伍長の戦場日記
  戦場日記関連資料/ 浅川 保・原 正人「理不尽な戦い」の貴重な記録/
清水磋太夫 戦場日記を読んで/浅川鞆雄 叔父さんの遺骨の凱旋
浅川伯教    李朝陶器の価値及び変遷に就て    解説・註 飯野正仁
〈書評〉







2013/02/28 8:12:33|甲府
盆地の空
盆地の空にヘリコプターが待っているのを、ある時期まで、アンリ・ルソーの画のパリの空のような、長閑なものに受けとっていた。
けれども、5か月の入院で、しばしば救急ヘリの屋上発着陸に脅かされてから、ヘリコプターの爆音は薄気味悪いものになった。
実際、ゴールデンウイークなどに、盆地の空をヘリコプターが飛んでいて「何だろう」と思っていると、山で遭難があった、という痛ましい報道を聞いたりする。

台風並みの季節風の吹いていた数日前の夜中、とてもヘリコプターの飛べるはずもないような風、刻限にも爆音がした。
気持ちをかき乱されるような思いでいたが、翌日のニュースを聞いて、八が岳横岳の遭難とかかわりがあるのだろうかと思った。
長野県側であっても、こういうコンディションの八ヶ岳なら、確かに山梨側からの方が救援しやすいかもしれない。
横岳の遭難では犠牲者が出たようだ。

お祭りや運動会、盆地の空に打ちあがる昼花火。
これは「カーン、カーン、カンカンカンカン」と鼓を打つように山々にこだまして、ちょっと遅れて白煙がパッパッと挙がり……いまだに長閑な感じがして、好きだ。

明日、市川三郷町では、団十郎を偲んで12発の花火を打ち上げるという。
甲府盆地まで響くに違いない。
しみじみと聴きたい。
甲州人は、歴代の成田屋を大事にしてきた。
近いところでも、風月の溝口さんとか、和菓子の牡丹亭満寿太(昔魚町(八日町?)、今、宝)とかの著名な贔屓がいた。
後者はたしか成田屋の三升を商標にしていたはずだ。

その孫やひ孫の世代は、甲府で行われた12代目の襲名披露に多少冷淡だったようだが。

とは言え、市川家の先祖が甲州に所領があったというのが、このところ、また、強調されるが、それはあくまで仮説だ。
武田のように、守護大名以来の名家が断絶すると、いろんな縁に結び付けられるものだ。