新聞、雑誌等に書いたもの、どっかでしゃべったこと、書き下ろし……の置き場です。 主に文学・歴史関係が多くなるはずですが、何にでも好奇心旺盛なので、どこまで脱線するか?!。 モノによっては長いのもありますが、興味のあるところから御覧下さい。
 
2012/11/15 7:18:14|艶笑譚・世界
女の喧嘩でのふざけた言葉

 われわれの知っていたロオマの都の女で、淫をひさいでいたのが、すでに大きな美人の娘を持っていて、これも買笑婦になそうと決めていた。
この女が同じ稼業をしている近所の女の一人と争った時のことである。



やがて二人の女は互いに悪たれ口をつき合うに至った。
近所の女は、何とかいう有力者の庇護を恃んで、母と娘とに物凄いおどし文句をならべた。
けれども母は、わが娘の太股(また)の奥をたたきながら、



「神様のおかげでこれさえ持っていたら、これさえかばっていただいたら、てめえのおどし文句なんか糞(くそ)くらえだ!」



と叫んだ。よいかな、その返答や。
彼女は多くの人が無上によろこぶすばらしい庇護者を信頼していたのである。

昭和26・1/ホッジョ・大塚幸男訳「風流道化譚」(鹿鳴社)








2012/11/15 7:16:46|艶笑譚・日本
弁天様

 ある男が金持ちになるようにと、流行っている弁天様に七日七晩お籠(こも)りをした。
 が、何の不思議なしるしもない。



 七晩目の明け方、弁天様が本堂の帳を開けて、ちり紙を一枚口にくわえて現れた。
 ありがたく思った男は、



「ここでございます、弁天様」



と裾にすがると、弁天様



「いやらしいねぇ、オシッコに行くんだよぉ」


※江戸小咄・『飛談語初篇』・拙訳








2012/11/15 7:15:32|高校文芸集選評
高校芸術文化祭(文芸部門)表彰式

標記の催しに文学館に行く。
何もかもだが、こちらも1年ぶりだ。部会長のKさん、文学館のIさんなど、いずれも懐かしく面映ゆい。皆、年代的に、次第に公務の中心から離れようとしている。よいことだ。教え子で、今年から文学館に勤務しているFさんにもあう。


時期が修学旅行シーズンだったりして、参加できた生徒は若干少なくさびしく感じた。「文化局」軽視でなければいいが。とはいえ、先生方の強い薦めもあるのだろうが、高校生の年代で、書いたものを人前に出そうという気になるのは、自分の同年代の時のことを考えると、かなり意識的なことだ。プライドも反対にコンプレックスも強い時期だろうに。だからこそ、書かれたものは粗末にはできない。「書くこと」に意欲関心を持ち、若い表現者の一人になって行ってくれればと思う。そうでなくても、それぞれの高校生の内面の発露になればいい。


選考委員が「推敲」の重大さとか、高校生たちにアドバイスをし、入選作の講評をし、三神弘さんの「ものを書き始めた時」の講演を聞く。原稿用紙の中に鳩を飼っていた思春期。


会の後、近所で三神さんとコーヒーを飲みつつ、少しばかり話す。この頃のこと、雑誌「猫町文庫」の件、文学結社・団体の件、深沢七郎のことなど。水木さんにも話して、暖かいものを囲んでちょいとやりたいですねと話してお開き。自分の文章も仕上げておかないと……。


夜、浅川玲子先生と電話で県立図書館のことを話す。開館記念式典が余りにも役所的だったという話。県立県営に留まったことはともかくよかったが、とりわけ「人」に関する部分で、これからが苦になる。


写真は慈雲寺のワンコ。








2012/11/13 13:50:05|「純喫茶」
オータムン@北杜市白州

甲州街道白州台が原宿のオータムン。私にとって、ある意味理想的な喫茶店である。


先ずなによりコーヒーが旨い。器がいい。建物がよく、家具がまたよく、薪で暖房するのも、少々煙いが、この匂いもいい。


LPレコードが数千枚蓄積されている。それを真空管アンプを通して流している。だから、音がとても軟らかい。けれども、くぐもった音ではない。レコードの手入れもしているのだろうが、埃のノイズや針音も殆ど気にならない。


ジャンルがモダン・ジャズ中心というのもとてもいい。マスターの好みだろうが、割合多く女性ボーカルを流している。


壁は古書の棚でもふさがっている。剣道の本が最も多く、継いで、ジャズ、コーヒー、八ヶ岳等のテーマ。古書には千葉周作とか天然理心流とかのタイトルも見える。表に色あせた胴着が干してあるのを見かけたこともあるから、相当の使い手だろう。武川には道場もある。


鉄の彫刻ゲージツ家KさんやTさんシリーズの映画監督等も見えるようだ。


難は我が家から多少距離があることだが、季節に従い色を変える七里が岩をえんえんと眺めつつ出かけていくのも悪くない。








2012/11/13 9:46:07|出版「猫町文庫」
猫町文庫の在庫整理

「猫町文庫」発刊書籍の在庫があふれて困っている。段ボール箱で15くらいあるだろう。右から左に売れるものじゃないし、県内の配本会社から返品されてきたからこうなってしまったのだ。家で保管するのも結構苦労である。


個人の著書は必要最低限をこちらが預かって、残りは著者にお渡しする。教育普及的にあげられるものはあげる。そう考えた。運んだり、送ったりも正直大変なのだが。とは言え、それをやれば10箱くらいにはなるだろう。


先日、恥ずかしながら、幹事をしている日本図書館協会学校図書館部会の役員諸氏に、御迷惑なようだが、「図書館が変われば学校が変わる」をお送りしておいた。発病、療養で幹事会にまったく参加できず、夏の大会など事業にも協力できなかったお詫びの気持ちもある。


とりあえず、明日、高校生の芸術文化祭(文芸部門)で「猫町文庫」〈在庫に余裕がある第2集だが)をあげることとしよう。彼らにも作品を寄せてくれと呼びかけるつもりだ。