前回に引き続き、鮭の遡上観察授業の報告です。 今回は、この母なる川である、 K川漁業協同組合様が、鮭を守り続けて行く為に、 地道に続けていらっしゃる、 様々な取り組みについて、お話しを伺う事ができました。
川原で暫く、鮭と鮭漁を見せて戴いた後で、 組合長様が、我々の為に、お忙しい時間を割いて、 丁寧に、丁寧に、お話しして下さいました。
鮭が、産卵後に受精してから、孵化する為には、 シビアな水温管理が、 非常に重要である事を教えて下さいました。 毎日の水温を計測し、その水温を積算していき、 ある、決まった水温に達した時に、 孵化が始まるのだそうです。
しかし、孵化直後に川に放ってしまうと、 たちまち多くの天敵に狙われ食べられてしまいます。
そこで漁協では、川の上流のある場所で、 孵化後、ある程度の大きさになるまで飼育してから、 川に戻してあげるのだそうです。
この時、ここで生まれた鮭達が、 何処まで旅をし、もし旅の途中で採捕されてしまっても、 それが何処の川で生まれた個体であるのかが、 鮭の頭の内部にある「耳石」の、輪の幅によって、 識別できるという事を伺いました。
この話を伺った時に、 単純に驚いたのと、人と鮭との間に、 この様な繋がりがあるのだと云う事に、 深い感銘を覚えました。
もはや、鮭は世界の宝の様な貴重な資源ですから、 国際的に保全していかなければなりません。 ですから、地球温暖化と云う事に対して、 大きな危機感を抱いて居らっしゃる事を、 組合長さまの言葉の端々に感じました。
また、実際に雌の鮭から「採卵」し、 雄の精子をかけて、受精卵にするまでの、 一通りの行程も見せて戴きました。
卵には、小さな穴が開いて居り、 産卵後、直ちに受精させないと、そこから水が入り、 その卵は、「死卵」と、なってしまうのだそうです。
それを極力させない為にも、人工授精が必要な訳です。 採捕されたばかりの雌のお腹から、 まるでルビーの様な卵が用意された洗面器へと放たれ、 直ぐに雄の精子をかけて受精卵とし、 その後、川の水に入れてあげることで、 卵の中では、新しい命への、細胞分裂が始まります。
その受精卵を、学校で飼育してみると良い―。 との事で、貴重なその受精卵を、戴いたのです。
管理方法を教えて下さり、 小さな命の種が、学生達の手に委ねられました。
順調に管理できれば、 二月には発眼卵となり、三月には孵化が始まるそうです。 非常に楽しみではあるものの、 命を預かる「重み」も、きっと学生達は感じた事でしょう。
この命が無事に生まれ、 再び、母なるK川に放たれ、戻って来てくれたら・・・ その日を信じて、その卵を預かりました。
学校に帰ってからは、 自分と相棒の先生と一緒に、 新ためて「鮭」に、ついて学び、 「鮭」に、ついて考える時間を設けました。
今回の授業が、学生達の胸に、 強く響いたと確信しました。
また、来年以降も、引き続きできる事を願っています。
写真は上から、 1枚目・・・組合長さんのお話しを真剣に聴く学生達
2枚目・・・採卵風景
3枚目・・・受精の瞬間
4枚目・・・戴いて来た受精卵 生まれて欲しい!! |