サケの遡上観察授業を終えた、 翌日の11月21日の水曜日は、
今度は、自然ガイド環境保全学科2年生の後期授業、 『水辺の環境教育学』の、担当3回目の授業となりました。
この前の週が実習週であった為、 学生達とも3週間ぶりの対面となりました。
今回のインプリのテーマは、「水生植物」です。 実習に入る前、この回ではクラフトで、 インプリを実践すると伝え、 少し時間もあるので、クラフトの準備をしておく様に―。 と、指示をしておきました。 なので、学生達がどの様なクラフトを、 考えて来て発表してくれるのか、 とても楽しみにしていました。
授業の冒頭、前回と同じ様に、 アクティビティーの実践による各自の、 インプリ発表の評価をし合いました。
自分と仲間の評価を、 それぞれに書いて見せ合う事によって、 より自身のインプリについて、 客観視できる様にしていくのです。 前回、とても大きな進歩が見られたので、 このワークの後の発表が、 より、充実するであろう・・・。 そう考えていました。
今回は、その評価をあえて発表させず、 準備して来たクラフトを仕上げて、 直ぐに発表する―。と、伝えて、 準備作業に取り組ませました。
が、女子1名の他は、 材料や資材など、 一向に机の上に置かれないまま、 時間が経過します。
只々、発表用の情報だと思うのですが、 時折、スマホの画面などを確認していました。 まあ、それでも、 時間になったらクラフトそのものが、 出て来るんだろうなあ・・・ そんな風に思っていました。 そして、タイムリミットを迎えました。 発表の順番は、くじで決めると伝えて、 準備作業中に、自分が作ったくじを引かせます。
トップバッターは、 前回、フルーツバスケット的な、 アクティビティーを提案してくれたIさんからでした。
早速、準備して来た、 毛糸や、色の付いた紐、綿・・・ 資材を並べます。 自分は、何が始まるのか、ワクワク。 の、一方で、男子2人の表情が、 チョッと固まりました。
たまらずKくんが、 「クラフトをやった体で解説するんですよね?」 「クラフトをするのが今日のテーマでしょ!?」 「自分もそう思ってました・・・」と、Hくん。
どうやら男子2名は、「解説」を、 インタープリテーションと、履き違えている様です。 ガラガラっと、前2回の授業で伝えた筈の、 インプリの定義が、自分の中で音を立てて崩れました。
「誰が、やった体で・・・なんて、言った?」 「いえ、言われて居ませんが、そうだと思ってました」 Hくんが、答えてくれました。
一体、彼らは何を聴いていたんだ・・・ 憤慨しましたが、表情には出さずに、 まあ、言い訳は後にして、 とにかく現状で発表する様に指示して、 Iさんの発表を続けてもらいました。
参加者にある生きものになったと仮定させてから、 「あなたは、どんな生きものですか?」 「自分の性格も考えてネ」。 「あなたのお家には、何があるかな?」 「どんなお家に住んで居るのかな?」 「前にある色んな材料を使って、 あなたのお家を作って見せて下さい」
そんなナレーションで始まりました。 水辺―。と、云う制約はなかったものの、 魚だと仮定すれば、水生植物は想像します。 水草の森、藻でできたトンネル、枝の滑り台・・・ 自分は、「わんぱくな魚の子ども」 と、仮定した途端に、 どんどんイメージが膨らんで来ました。
水草がお家であり、ベッドでもあり、 遊び場でもあり―。 Iさんだけはインプリの定義を、 正しく理解できた様です。
続いて、男子達の番。 先ずはHくんから、 彼は折り紙を考えていた様で、 Iさんの準備した材料の中に色画用紙があったので、 それを借りて、スタートしました。
先ず黒板に「葦」と、大きく記しました。 「皆さん、この字を何て読みますか?」どうやら、 川原に群生している葦をモチーフにしたようです。
葦は「あし」と、読む他に、 「よし」とも読まれることがあり、 「善し悪し」の、語源かもしれないと伝え、 「では、ここに葦で作った紙があります」 と、言ったので、
「あ、そういう紙が本当にあるんだね」って聴くと、 こくんと頷きました。普通の紙で、 各自、好きなものを折り紙で折っていきました。
ここまでの流れで、彼が何を語ろうとしたか、 判断がつきました。 だったら、 鼻から普通に折り紙させたらいいじゃん!!
インプリになってないとは云わないけれど・・・ 葦の解説の方がメインになってしまってますよね。 ちゃうねん!!
最後はKくん、いきなり、 「今日は水草テラリウムと云うのを作りましょう」。 「材料は・・・」 と、前置きして、用意してもいない材料の数々を伝え、 作り方を淡々と説明していきます。
そこに、水草も材料に加えていながら、 観察とか、デザインという工程も伝えないまま、
「これで、ステキな水草テラリウムが完成です!!」 ????? 「インプリじゃねーな・・・」 これは、単なる工作ですよね。
ネットを見るとこうした、 「水中の箱庭」みたい・・・。な、テラリウムが、 密かなブームになっている様な、 情報や、動画が結構あります。
どうやら、それをコピーした模様―。 なので、チョッと途中で質問をしてみたところ、 「あれ、どうだったっけ?」 と、メモを見直しました。
彼からしたら、ちゃんとネットからでも情報を集めて、 「水草」に、ついてイメージができるものとして、 これをまんま発表したのだろうし、 ド直球の工作で、何か変なのかな・・・? と、思ったと、予測できます。
彼の生真面目さが際立った発表でしたが、 彼に、「それ、自分では作ってみたの?」 って、聴いたら、それはしていないとの事。 だったら、例えでも、やっちゃダメでしょ(怒)
もしかしたら、 自分の伝え方が悪かったのかもしれません。 只、はっきりしたのは、 「自然解説」イコール「インタープリテーション」だと、 勝手に判断した―。と、云う事です。 その解釈で、前2回もやっていたと云う事です。
設定したテーマに、ゲストとガイドが、 双方向で、体験を通じてコミュニケーションを行うのが、 インタープリテーションですから、 その定義、全く誤解してしまっている様です。 あれだけくどく言ったのにな・・・。
でも、Iさんは自身の知識の範疇で、 前回も、今回も、 楽しく、双方向で、体験を通じたコミュニケーションを、 やろうとしていました。 彼女は、定義を正しく理解してくれました。
先生は、ガイドではなく自然そのものなんだ―。 この基本の基を、 改めて認識させてあげないといけません。
この授業、最終的な成果として、 この3名で、実際に水辺に持って行って、 「使えるセルフガイド」を、完成させる―。 と、云う課題を設定しています。
それぞれの発表を聴いて、 率直な感想と、お小言も伝えて、 改めて、インプリの定義についておさらいさせました。
授業の後半で、そのセルフガイドの完成に向けて、 編集会議をさせました。編集長に決まったのは、 自ら手を挙げたIさん、最初の顔合わせの時に比べ、 この積極性と、表情が凄く変わって来ています。 「水を得た魚―」そんな観さえ見えて来ました。
彼らの知識量では、 そのセルフガイドに、多くの知識は詰められません。 それでも、命に輝いている水辺は、 きっと彼らの感性の中に呼び掛けるものがある筈で、 それを形にして欲しい―。と、伝えました。
さあ、次回は最後のカテゴリー 「水辺の外来種」に、ついて、 相棒の先生からの知識教授と、次回のインプリの実践は、 ストーリーテラーとしました。 自分の担当は、年が開けた1月9日です。
彼らの口からこぼれた物語は、 一体、何を語ってくれるでしょう。
寒い冬の後に、 必ずやって来る命の春―。 そんな「キラメキの水辺」に、ガイドとして、 連れて行って欲しいな。
編集長、そして男子2人も、頑張って!!
|