もうあと2日で、10月も終わろうとしています。 気が付けば、今年もあと2カ月ですね。
さて、10月17日(水)に、 非常勤として赴く妙高の専門学校で、 今年度、後期になって初めての、 担当授業がありました。
『水辺の環境教育学』として、 自然ガイド環境保全学科の、 2年生を対象に指導して居ます。
昨年度までは相棒の先生と、 それぞれ別の内容で進めて居りました。 が、カリキュラムが大幅に改編されて、 同じテーマで、交互に担当することになりました。
そして、そのテーマは、 『自然ガイド』と、しての、「実践力―」を身につける インタープリテーション(以下、インプリ)を、 学んでもらう事にしました。
計8回の授業で、インプリの素材を、 「淡水魚」・「水生昆虫」・ 「水生植物」・「外来種」の、 4つの生きものにカテゴリーしました。
それぞれの知識部分を、 相棒の先生から伝えて戴いた後で、 翌週の自分の担当回で、その知識を基に、 インプリを実践してもらう―。 と、云うシラバスを組みました。
受講する学生達とは、 前期に別の授業で顔を合わせましたが、 とても大人しくって、どこか頼りなさげ・・・ 「自然ガイド」と、しては、 「大丈夫かなあ・・・」と、云う懸念もありました。
しかも3人だけなので、正直我々も、 手探りでそのシラバスを進めていかなければなりません。 なので、相棒の先生とは、 毎回情報を共有して、進める事にしました。
で、1回目の知識教授後のインプリ実践としては、 先ずインプリの定義や、伝え方の基本を踏まえ、 全体の骨子となるテーマを決める事や、 その素材となるトピックを、 理解してもらう事に努めてみました。
結果、手応えはどうであったかと云うと、 充分に、自然ガイドとして、 インタープリターとして、 活躍でき得る人材でした。
彼らと言葉を交わすうちに見えて来たのは、 3人が3人とも、とても真面目な性格であると云う事、 そして、この学校に来ているからには、 自然や、生き物について、 詳しくなければならない―。 そんな、先入観がある様に感じました。 その使命的な先入観に縛られて、 戸惑ってしまっている印象でした。
確かに詳しい知識を持っている事は、 大きな武器にはなりますが、 説明主体になって、 インプリとしては面白みに欠けてしまうでしょう。 単なる自然解説と、 インプリを交えた自然解説とは、 似て非なるものです。
ひと言に「自然が好き・・・」と、云っても、 それが自然に詳しい事には、 必ずしも繋がりません。
自然の中でただ過ごすだけの、 癒しや、気持ちよさだったり、 虫とりをして野原を駆け回った原体験だったり、 大切な記憶だったり、
それは知識ではなく、動機であり、 それこそ、その楽しさを伝える為の、 原動力にほかなりません。 上手に自然を語れなくても、 その気持ちさえ持っていれば、 絶対にできる―。と、確信を持てました。
自然はいつもそこにあっても、 見せたいものは、いつもそこにあるか、 そこに居てくれるか、 そこで咲いていてくれるのか、 全く保証はありません。
知識武装してフィールドに出てみても、 そこにある筈のものがなかったら、 たちまち鎧はズタズタになってしまうでしょう。 大事なのは、その人のパーソナルであり、 それが魅力となって、より印象的に、 ゲストの記憶に刻まれるのです。
テーマ決めの練習として、 「アイディア出しトレーニング」を、 実践してみました。
これは、特に自然とは関係のない絵や写真から、 無作為に質問を投げかけて、 瞬発的に答えや、状況を書かせて、 それを当事者で共有するもので、 同じ物を見ていても、同じ質問をしても、 人によって視点も、気持ちの在り方も違うので、 へぇ〜!!そこ!?って云う様な、 新鮮な発見があります。 それを何度か繰り返し、その多様な気付きに、 驚いた様で、段々と目が輝いてきました。
そして、授業の後半で、 淡水魚についての、インプリを実践してみました。
まだまだ知識を語ろうとし過ぎている観や、 双方向のコミュニケーション―。と、云う定義に、 借りて来た様な、ありきたりな質問をしてみたり、 インプリと云うには、まだまだ遠いものでしたが、 学生達の現状での経験値では当り前な事で、 それよりも、その素直な気持ちが伝わって来たのが、 何よりの収穫でした。
ねばならないを蹴散らして、 ワタシにしか、オレにしかできない、 そんなインプリを目指してみよう!!
彼らの大人しさの理由に、 何となく気付いた、実りのある授業となりました。
|