先日、このブログで女優小山明子さんの講演について少々触れましたが、その講演が行われたのは山日YBS・スミセイさわやか介護セミナーです。昨年は俳優の長門裕之さんが講演をされ、「同じ名前です」とご挨拶をしたところ、長門さんから「光栄です」とほほ笑みかけられ、恐縮したこともありました。毎年、素晴らしい内容の講演を聴くことができます。
セミナーではその講演のほかに優和福祉専門学校・優和スクールの小俣先生らによる介護実技があります。簡単に言うと介護者の負担を軽減する介護のコツなどをお話しくださるのですが、ベッドから車いすへの移り方や要介護者の支え方などの説明を聴いていて、介護の体の動きは武道と非常に共通項が多いことを実感しました。
まず、介護者に起こる不調は身体的不調と精神的不調に大別できますが、介護者に最も多いのは腰痛だそうです。日ごろから腹筋と背筋を鍛えることの大切さを小俣先生は強調されていました。
介護者は身体が安定するように重心を低くし、基底面を広く取ることが大事です。剣道でも右自然体、左自然体などがありますが、両足を並べるのではなく、必ずどちらかの足が前にあるようにして基底面を広く取っています。あとは重心の移動を滑らかに行うことや、てこや振り子の作用を利用して体を起こすことなどが実演されました。介護をされる方の力をうまく引き出して介護をすることの大切さを感じさせられました。
また、要介護者が車いすから立ち上がる際、車いすが前進したままの状態だと、キャスターが軸よりも後ろにあるため、立ち上がった弾みで車いすごと前のめりになる危険性が高いけれども、車いすを一度バックさせた状態にすると、キャスターは前方に位置するため、いわば車いすの基底面が広くなったことで安定感が格段に増し、立ち上がってもほとんどバランスを崩すことがなくなることも実演してくださり、はっとした瞬間でした。
常に先を読むことの大切さを説かれ、武道の教えとも共通することが多いと感じました。これから介護に携わる人には武道の心得も必要だと感じました。
介護と武道の動きについての共通項について書きたいと思っていたところ、つい先ほど優和福祉専門学校の校長先生からお電話をいただき、以心伝心というか驚きました。
優和福祉専門学校の校長・杉田季久雄先生は、鷹野の甲府西高時代の忘れられない恩師です。たとえばジャージの襟を立てていると、すかさず「鷹野、色気づいたのか。襟を直しなさい」などと生徒の微妙な変化にも気づく繊細な先生です。
最も恩に感じているのは学業成績が下がったときの三者懇談で、「先生、部活動をやめさせた方がいいでしょうか」と尋ねた母に対して「お母さん、部活動やめて成績が上がった生徒は私が見てきた中で一人もいませんよ」と言ってくださったことです。「救われた」と思ったと同時に、杉田先生の顔をつぶすわけにはいかないと意気に感じたものです。
甲府西高の体育局長に推薦してくださったこと、また体育の授業でのハンドボールのGKの奮闘ぶりを見て先生が顧問を務めていたサッカー部にスカウトしてくださったことも今となっては良い思い出です。サッカーに転向していたらどうだっただろう、なんて時々考えることが今でもあります。
話が脱線してしまいましたが、杉田先生がたまたま今日お会いした方が剣道関係者で、鷹野のこと、道場を建てたという話を耳にされたとのことでした。「元気に頑張っているようだね」と電話してきてくださったのでした。
杉田先生は「心」を持った介護福祉士を数多く世の中に送り出したいという強い信念を持っています。まだまだ環境整備が進まず、介護の現場は厳しいという声をよく耳にします。しかし「子ども叱るな(笑うな)来た道じゃ、年寄り笑うな行く道じゃ」というようなことわざがあるとおり、超高齢社会では介護は多くの人がかかわっていかざるを得ないことです。「介護の中に暮らしがあるのではなく、暮らしの中に介護がある」(介護セミナー資料から)。熱い心を持った杉田先生の薫陶を受けた介護福祉士がもっともっと増えてくれることを望みます。
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