午後4時過ぎ、 1班の現在地は、登龍峠の展望台を、 末吉側に2`ほど下った辺り―。 そう聴いて、BCを飛び出しました。
1班を確実に捕まえるには、 やはり「展望台」だと、踏んでいました。 が、まだ途中の道を複数の班が歩いています。 顔を合わせれば、 給水とか激励とかに時間を取られますから、 全ての班が通過するまで、 峠を下りきった「供養橋」辺りで待機して、 底土へ降りるのを見届ける事にしました。
最後の2班がそこを通り過ぎたのが5時半頃。 今から展望台に向かうと、 既に1班は到着しているかもしれません。
なので、急いで峠の道を車を走らせました。 午後6時5分前。展望台に到着。 すると丁度1班が、 再び歩きだそうとしているところでした。
夕暮れが迫る登龍峠から、 眼下に広がる景色は本当に絶景なのですが、 それを味わっている暇は1班にはありません。
タイミング良く、 島の教育課長さんが声を掛けて下さって、 「急いだ方が良い―」と、 1班にアドバイスして下さったそうです。
そのタイミングで自分も着いたので、 もう一度、駐車場のスペースに戻し、 1班のメンバーに、こう切り出しました。
この時間から今と同じペースで進むと、 残念ながら制限時間までにはBCに着かない。 でも、ここまで頑張って来たみんなを、 なんとか全員でゴールさせたいから、 ペースアップに協力して欲しい・・・。
更に、 確実にゴールするには、底土に7時までには行きたい。 だから、全員このタイミングで反射板を付けて、 リュックは背負わずに歩こう。 暗くなったら、ヘッドライトも点けよう。
水とヘッドライト以外の メンバーの荷物を車に載せて、 「底土でまた会おう」と、 伝えて歩かせ始めました。 「自分が後を追いかけるから、タイソンさんは底土へ」 と、課長さんもサポートして下さりました。
通常、展望台から底土までは、約2時間。 それだと間に合いません。 どうか急いでと願いながら、 供養橋に来たのが7時。ギリギリです。
「もう少しだから頑張れ!!」 暗い道をヘッドランプを点けて、 しっかりした足取りで、右折しました。
7時15分。底土港通過― このまま行けばなんとかなりそうです。
7時30分。出廻りバス停を通過―
7時40分。 神湊港に差し掛かりました。
タイムリミットは午後8時。 間に合う確信が持てたので、本部へ連絡。
神湊漁港を出る直前で荷物を背負わせて、 ゴールに向かいます。準備よろしくお願いします。
7時45分。 課長さんと二人で荷物を背負わせました。 「着けるぞ。頑張れ!!」そう伝えて、 自分はBCに先回りします。
BCでは、他の班の子ども達も全員出て来て、 「がんばれ、がんばれ」と、 コールが始まりました。
指導者の粋な計らいで、ゴール前には、 花道のファイヤーロードが焚かれました。
「オーイ」 子ども達のコールに応えて、 1班の子の声が聴こえて来ました。
頑張れ、がんばれ、ガンバレ・・・ ファイヤーロードに照らされて、 1班が姿を現しました。
そして、ついにゴール!! 大きな拍手が沸き起こりました。 カウンセラーのMピーの眼が、 潤んで光っています。
「ありがとうございました」 アヤがゴールで待っていた全員に報告すると、 再び大きな拍手。そして、 他のVLもみんなアヤの周りに駆け寄って、 労をねぎらいました。 その姿のなんと美しかったことか!!
「お疲れ様。ゴール出来て良かった・・・」 最後にアヤに声を掛けました。
途中何度も足を止めては、 今の班の状況をメンバーに伝えて話しわせ、 遅れているのも承知のうえで、 全員が大切な仲間だと云う事を、 必死で伝えて来たアヤでした。
1班が本当に壁を乗り越えられたか―。 と、問えば、もしかしたら不完全だったでしょう。
でも確実に、他の班のメンバーも含めて、 仲間の健闘を讃えていた事実は曲がりませ
大切「何か」を、1班の子ども達が、 感じてくれていれば、このチャレンジは無駄じゃない。
班の醸成と、かけがえのない1班になる―。
アヤの気持ちは、絶対に届いた事でしょう。
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