当方が非常勤の講師として指導に赴いている、 新潟県の専門学校の授業において、 初冬のフィールド観察授業で、すっかり定着した、 鮭の遡上の観察を、今年も行って来ました。 場所は、上越市を流れ日本海に注ぐ「桑取川」です。
桑取川漁協さんのご協力の元、 毎年繰り返されるこの命の営みと、人との関わりを、 間近で観察させて戴き、「鮭」と、云う魚の、 資源としての価値を守り、命を繋いでいく仕事について、 理解を深めていくのが狙いです。
冷たい雨がシトシトと降り続く中、現地に到着すると、 目の前の川に、大量の鮭たちが、背びれを出したまま、 懸命に泳いでいました。 その中には、既に息絶えて、岸辺に打ち上げられ、 傷だらけの屍を晒し、それを、木の上から、 カラスがついばもうと狙っていました。
今年は、10月に台風が接近した事で、 護岸が土砂で覆われてしまったとの事で、 例年より漁が遅れてしまっているとの事で、 お忙しい合間を割いて、我々に対尾して下さいました。
また、少し上流側の堰堤を、必死に乗り越えようと、 ジャンプを繰り返しては、押し戻されていました。 そんな健気な姿を、初めて見た学生の多くは、 感動した表情で、その営みを見つめていました。
途中、組合員の方が投網を打ち、 鮭を捕獲し、頭を棒で叩いて気絶させ、 オスとメスとを分別していきます。 何度か網を打って、割と大ぶりな魚を選んでいきます。
この後の、採卵と受精の作業では、 大型の魚であればあるほど、遺伝子も強いので、 より強い遺伝子を持ったオスの精子と、 メスの卵(即ちイクラ)を、受精させた方が、 種の存続の確率が高まるからです。
川での鮭の採捕については厳格なルールがあって、 組合員の方であっても、特別採捕許可を得た、 一部の人でなければ許されません。
こうして採捕された鮭の、 採卵と受精の工程も見せて戴き、 種の保存と資源確保に、 人が深く関わっている現状を知りました。
また、耳石のコードの読み取りによって、 その鮭が何処で生まれ、どの様なルートを辿って、 母なる川に辿りつくのか―。 と、云う情報も、 今では世界各国で共有できる様になっています。
この母なる川に、この先もずっと鮭たちが、 戻って来れるように、自分たちができることを、 考えていきたいですね。
遠い遠い昔から、遥か未来まで、 人と自然は、うまく関わっていけますように・・・
写真は上から
1枚目 特別採捕許可を得た組合員さんが、投網で鮭を捕らえます。
2枚目 捕れた鮭の中から、卵が成熟した雌と、 大型の雄を選んでいきます。
3枚目 これは雌(♀)の個体です。
4枚目 お腹を割いて採卵し、雄の精子を掛けて受精卵にします。
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