神様は時に、とてもいたずらで、えこひいきをします。 初日を登龍越えから始った、 1班と2班のリーダーは、どちらも2年目―。 共に、このサバイバル踏破に、 特別な「思い」を、持って臨んでいました。
2班のリーダーのてるは、 この八丈での現地研修を終えたら、 自分の夢の実現に向けて、 大きな一歩を踏み出そうとしていました。
英語の先生になりたい―。 彼の強い思いは、 ついに、イギリス留学のチャンスを勝ち取りました。 八丈から帰って直ぐに、イギリスへ旅立つのです。
だからこそ、この海洋道中が彼の総決算!! 班のメンバー全員で、明るく、楽しく、歩き抜く―。 そんな思いで、子供達を引っ張っていました。
ビバーク地で過した夜は、 体育館で、大盛り上がりのバドミントン大会!! そこで生まれたメンバーの必殺ギャグは、 「カニおどり〜!!」 とにかく、ずっと笑顔が絶えない班になっていました。 だからなのか、2日目も順調そのもの!! 唯一、ノ―アクシデントでBCに迫っていました。
一方、1班のリーダーのかっちゃんは、 昨年、痛恨の「道間違え」を、してしまい、 感動のゴールではあったものの (昨年のブログも是非チェックしてね!!) 今年のサバイバルに、リベンジを期していました。 しかも、班長さんのリーダー性も高く、 ここまでは、ぶっちぎりイチバンのペースでした。
藍ヶ江を予定より早く出発し、 大坂トンネルの展望台まで、あっと云う間でした。 なので、絶景を見ながら朝食をと、 ここまでは、かっちゃんのプラン以上に、 完璧なペースでした―。
それが・・・ 食事の時に班のメンバーの一人が、 自分のレインウェアがない事に気付きました。 「そう言えば・・・」昨夜は、 荷物を網小屋に一度しまってから眠ったそうです。
そして朝、本人は回収したつもりではあったのですが、 「きっと、ビバーク地へ忘れて来たんだ・・・」 その時、班のメンバーは、直ぐに全員で話し合いました。
彼らの出した結論はと云うと、 みんなでビバーク地へ戻ろう―。と、云う答えでした。 誰ひとり、それに文句を付けるなんてせず、 当たり前の様に、その決断をしました。
只、ここから藍ヶ江まで戻るのは、 大きなタイムロスに繋がりかねません。 それでも、それも承知で、 「戻る」と云う選択を、かっちゃんに伝え、 彼もその決断を支持したのです。
パトロールの途中、 丁度、藍ヶ江から中之郷まで戻って来た、 1班を捕まえて声をかけました。
その時の彼らの表情は、とてもすがすがしく、 戻った事で、嬉しい事がいっぱいあったよって、 そんな話しをしてくれた子さえいました。 メンバー全員で乗り越えたリスクは、 より彼らの絆を強く、太くしていました。 その表情を見て、絶対に大丈夫―。 自分も、きっと他のみんなも、確信していました。
その後もピッチを上げて歩き続け、 昼食の予定の八重根漁港には、 たった30分の遅れで辿り着いたのです。
が、昼食の後、 どうにも子供達の足が止まってしまったのです。 気持ちとは裏腹に、歩きだせません。 時間だけが、無情に過ぎていきます。
ようやく八重根漁港を出発できたのは、 もうBCに着く予定であった、午後4時前―。 ここからだと、どんなに頑張っても、 4時間では帰れそうにありません。
事務局では、彼らを信じつつも、 場合によっては、リタイヤさせよう―。 とても、明るい時間帯では戻れまい。 8時は過ぎるだろう。9時になってしまうかも・・・ 焦りは次第に、 いらだちにも似た感情になって来てしまいます。
てるの2班は、ほぼ予定時刻通りに、 みんな元気で、イチバン乗りでゴールしていました。
他の三つの班も、ゴールインして、 1班だけが、まっ暗い夜道を、 ヘッドランプの灯りを頼りに、 無言のまま、ひたすら歩き続けていました。
そして・・・ 周りは闇となった夜8時半過ぎでした。 仲間全員が待ち焦がれていたBCに、 ようやく1班が辿り着きました。 途端に彼ら目からあふれ出る涙・・・
みんなを待たせてしまった、 迷惑をかけてしまった、 でも、どうしても最後まで歩きたかった、 ようやく戻って来れた・・・ 色んな思いがこみ上げて来て、 嗚咽を繰り返す1班のメンバー達。
泣く事なんてない!! みんなで良く頑張ったんだから・・・
ゴールの後、リーダーテントの隅で、 かっちゃんが、膝を抱えていました。 その姿を見て自分は、かっちゃんに対して なんとも申し訳ない気持ちに包まれていました。
あれほど順調だったのに・・・ 俺のせいで・・・ かっちゃんの無念を思えば思うほど、 彼の胸の痛みに寄り添ってやれず、 無力感も覚えました。
そんな1班に、仲間達は優しかった―。 疲れをねぎらい、笑顔で1班を迎えてくれました。 この子たちはサイコーの子供達です。
2人のリーダーに、神様が仕組んだいたずらは、 明と暗がはっきり分かれてしまったけれど、 きっとどちらも、2人のリーダーに向けての、 エールだったんだと思います。
生還報告会の揺れる火の中で、 長く、辛く、嬉しく、優しかった サバイバル踏破の2日間が終わりました。 そして、明日以降の活動について、 団長さんが、ゆっくりと話しだしました。
写真は上から
1枚目 2班のゴールの瞬間!!喜びが爆発してました。
2枚目 2班のメンバー全員で記念撮影
3枚目 もう真っ暗で、うまい写真が撮れなかったけど、 1班、お疲れ様でした!!
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