夢を育むお手伝い。    HOOK(フック) かんきょう 『協育』事務所へようこそ!!

HOOK(フック)とは、釣り針のことです。 子供たちが思い描く夢や希望を、 質の良い自然体験活動と、環境教育のワークショップなどを通じて育てることを支援させて戴きます。 大切な子供たちは、たくさんの人たちの「協力」があって健全に育ちます。 是非この『協育』に、お手伝い下さい。
 
2021/11/10 10:10:00|活動報告
世田谷区の保育園の子どもたちと一緒にあそんだよ1

自分だけではありませんが、
このコロナ禍で仕事が激減しました。

が、11月になって、少しずつ動き出しています。
11月4日の金曜日、
再スタートの場を与えて下さったのは、
世田谷区に、昨年度開園した保育園でした。

呼んで下さったのは、
甲府に基盤を持つ『かほる保育園』様です。
とっても素敵な保育園ですから、
ご存じの方も、きっと多いのではないでしょうか。

実は以前、環境学習の一環として、
講演会でお世話になって以降、懇意にして戴いて、
様々な形で、お手伝いをさせて戴いて居ります。

兼ねてより、先生方に体験させたいと云う事で、
自然を、心と体で体験できるプログラム体験を、
ご依頼戴いて居りました。

が、夏からの爆発的感染拡大に伴う、
緊急事態宣言の発令等で、
延期を余儀なくされていたのです。

それが、
急速な感染縮小の状況となっている今、
改めて当方から打診したところ、

是非来て欲しい―

と、嬉しいオファーを戴いた事で、
園への訪問が実現しました。

実は、甲府の園の先生方の多くは、
このプログラムの指導者資格を持たれて居ます。

が、都内の先生方は、そのプログラム自体を、
ご存じない若い先生が多いため、
なかなか活用できていない―
そう云う課題があるそうなのです。

会場は、園のすぐ近くにある
上野毛自然公園です。

が、園から公園までの道も、子ども達にとっては、
結構なアドベンチャーですよね。

午前10時に出発―
と、云う事で、30分ほど前に到着して、
待機させて戴いたのですが、

見たことないおじさんが、
来ている事に気付いた何人かの子ども達から、
早くも質問攻め〜

「どこから来たの?」
「なんさい?」
「これから何するの〜?」

何処に行っても、子ども達は元気です。
いちばんちっちゃいお友達は2歳児さん、
いちうばんおっきいお友達は5歳児さん、
0〜1歳の赤ちゃん達を以外の、
園の子どものほぼ全員が参加してくれました。

大人の足なら5分ほどの道のりですが、
歩いている最中から、子ども達の好奇心炸裂
色んな物に、人に、お店に興味津々です。
到着までに15分は、掛かったかなあ・・・スマイル

着いた広場には、
紅葉したサクラの木がたくさんあります。
赤い葉っぱ、黄色い葉っぱ、マーブルの葉っぱ・・・

そんな色んな色の葉っぱを落としてくれた桜の木
中からとても個性的な枝振りの、
マイチェリーの木を見つけたワタクシ、

「私はだーれ!?」

と、マイチェリーの姿形を真似してみます。

ワタクシの背中越しに1本のサクラの木を、
みんなが指さしてくれました。

「じゃあ、そこに連れてって〜!!」

正解の木だったでしょうか!?

「大正解!!」グッド

その木の幹は苔むしていて、
見た目よりも、お年寄りなのかなぁ?

「触ってごらん」パー

ちょっと、躊躇しています。
こう云う所は、やっぱり都会っこ

なので、自分がほっぺたすりすり〜
そしたら、苔むした幹を手でさすってくれました。

「どんな感じ?」

ちょっと、チクチク
ザラザラ〜っ

日に照らされて苔が乾いています。
次第にセンサーが立って来ましたよ。

さあ、今度はキレイな葉っぱを、
いっぱい拾っておいてね〜

と、子ども達と先生方に、
落ち葉をいっぱい集めてもらっているうちに、
メインの活動の仕込みに公園の別場所に、
走っていきました。

メインの活動は、
また別に投稿しまーす!!

短くまとめようとしたけど、
いっぱい気付いてくれたから無理でした。

次回をお楽しみに!!



 







2021/10/14 10:00:00|活動報告
みんないいボコたちでした(^^)/ 2
それでは引き続き、前回紹介した小学校の、
2組さんでの授業についても、
報告させて戴きますね。

教室に入ると、担任の先生の他に教頭先生と、
もうお一人先生が見学にお見えになりました。
先生が増えると、なぜか緊張しちゃいますよね困った

ところで、
前回も書いた通り、授業の進め方は同じなのに、
反応が見事に違っていたん
です。

全体的には、1組さんよりやや大人しく感じました。
DVDの視聴が終わった後、
1組さんと同様に、Kちゃんとの出会いをお伝えしました。

その後で、担任の先生からも、
既に質問を準備してる子がいるんです・・・。
との、情報を戴いていたので、

いきなり、取り組もうとしている調べ学習の、
テーマを何にしたのか、聴いてみる事にしました。

Kちゃんの主なテーマは、
海ゴミによる生きものへの被害― ですが、
同じテーマで取り組もうとしている子がいました。

また珊瑚の白化について、
調べようとしている子も居ました。

一方、具体的にどう進めていこうかと、
考えがまとまって居ないような印象も受けました。

そこで、自分がこれまで行って来た活動の数々や、
様々な人達と繋がって来た経緯についても伝えました。

当所、自分は正義感を振りかざして、
やらなきゃダメだって、ごり押ししたら、
活動が一向に広がらなかった失敗を伝えました。

でも、一緒にやろう、やらせて下さいと、
自分から、多くの出会いを求めた結果、
自然に繋がる事ができて、活動が広がった―
と、伝えました。

また、ゴミについても、
その見方や、考え方についても、
こんな風に考えてみれば・・・。と、
経験も交えて伝えました。

留意したのは、マクロな見解では無く、
どれだけ自分の身近な部分で考えてみるか
と、云う事でした。

いわゆる、自分事でいいんじゃないびっくり
って、細やかな気付きの積み重ねが大切かもね。
と、アドバイスを送らせてもらいました。

こんな質問がありました。
プラスティックゴミで最も心配している事は何ですか?

答えたのは、極めて個人的な見解です。
自分の前職が釣具屋さんだった事を伝えたうえで、

自分は、お魚釣りが大好き。
釣った魚は、美味しく食べたい。
でも、そのお腹から、
プラスティックが出て来きたら嫌だなあ・・・


こんな質問もありました。
どんなゴミが海には多いんですか?

この質問には、こんな風に答えました。
きっと、様々なゴミの種類を教えてくれる・・・。
そう思ったと思いますが、

自分が伝えたのは、ゴミって何だろうねびっくり
って、真逆の発想の転換を伝えました。

「ゴミって云うのは、不要な物・汚い物だとすると、
海に流れ出た物の全てがゴミだとは限らないよ」。

「自分なんか、落ちてる釣具も使っちゃう。
だって、勿体ないじゃん」。

誰かにはゴミであっても、自分にとっては必要な物。
例えば拾った物で、あなたが何か工作したとして、
それを褒めてもらったり、私もやってみたい・・・
なんて云われたら、きっと嬉しい。

その時、拾った物はゴミじゃ無くって、
宝ものにもなっちゃうかも
よ。

でも、それでも確実にゴミは減る―。
いっぺんにやろうとすると気が遠くなっても、
ゴミがゴミでなくなれば、ゴミは減るよね。


他の子達に、
分別したゴミを何処に持って行くの?
って、聴いてみたら、「○ッグに持ってく!!」と、

近くの大型スーパーに持って行くんだ。
と、答えてくれた子がいました。

「へ〜 どうして!?」

って、訳を聞いたら、

「だってポイントが付くんだよ」。

「わー、それっていいよね〜。
  だってポイント貯まれば、欲しい物買えるし、
  読みたかった本も買えるじゃん」


それが、『付加価値』で、あることを伝えると、
お得感があれば、ゴミ拾いだって楽しいよね。

この付加価値については、
担任の先生も盛り上げて下さいました。

甲府市の○○のプールは、牛乳パックとの交換で、
「子供はタダになるんだよぉ!!」

この日も暑かったので、
この話しには、直ぐに食いつきましたね幸せ

最初は、ちょっぴり緊張していた様に見えた、
2組さんの子供達に、次第に笑顔が増えて来ました。

どちらのクラスも、授業時間はアッと云う間でした。
子供達は、13日にも別の講師の方から、
「太陽光エネルギー」晴れの、講義も受けるそうです。

ああ、でも昨日は雨模様雨
大丈夫だったかなあ・・怒る

今回のKちゃん授業は、どちらかと云うと変化球野球
でも、色んな切り口で伝えられるからこそ、
きっと、たくさんの機会を戴けているんですね自信まんまん
本当にありがとうございました。

2クラスとも無事に授業を終える事ができました。
子供達の笑顔が嬉しい授業でした幸せ
きっと、たくさん気付いてくれたと思いますグッド

「事後の質問も大歓迎です!!」

って、伝えて来ました。
なので、質問がいっぱい届くといいなあ嬉しい






 







2021/10/12 10:00:00|活動報告
みんないいボコたちでした(^^)/ 1
本当に久しぶりの投稿です。
なかなか、環境教育の活動が出来ずに居りました。

ですが、先月末で新型コロナウィルス対策の、
緊急事態宣言・蔓延防止等重点措置が、
全国的に解除された事を受け、
時計の針が、改めて動き出しました。

そして、ようやく『Kちゃん授業』を、
再開する事ができました。
今日は、その報告をさせて戴きます。

10月8日の金曜日の午後―
お邪魔したのは、甲府市の東部にある某小学校です。

実は、自分の実家の直ぐ近くの小学校で、
近所にも在校生がたくさんいます。

今回授業を聴いてくれたのは、5年生2クラスです。
実は、「環境」と云うキーワードで、
児童それぞれが、自分でテーマを決めて、
調べ学習に取り組む
のだそうです。

その一環として、総合の時間を使って、
専門家の話を聴いてみよう―
と、云う事で呼んで戴きました。

ですから、児童の中には、
既にテーマが決まった子もいれば、
これから決めるって、子もいる訳です。

なので、自分としても今回は、
Kちゃんありき―

ではなく、Kちゃんの話しをきっかけとして、
様々な「つながり」に、気付いてもらえる様に、
お話しさせて戴く事にしました。

ではクラス毎に、
どの様な状況になったか、報告致しますネチョキ

進め方は2クラスとも同じだったのですが、
反応は見事に違っていて、
とにかく楽しかったんです幸せ

それに、どっちのクラスの子も、
素直で元気で、
みんないいボコたちでした嬉しい

では、最初は1組さんからです。
児童は25名で、クラスの代表の子が二人、
自分を呼びに来てくれたところから始まりました。

教室に迎え入れて戴いて、
先ずは担任の先生から、自分の事を紹介してもらい、
早速KちゃんのDVD鑑賞からスタート。

尾びれに釣り糸が絡まり、
どんどん痩せ細っていくKちゃんの実際の映像を、
見てもらいました。

その後、
いよいよ自分がお話しさせて戴く番となりました。
先ずはKちゃんと自分との出会いについて伝え、
自分が伝え続けている訳を併せて伝えました。
この際、感想を聴くのは敢えてスルーしました。

そこから考えて欲しかったのは、
点ではなく、線で、面で、
色んな角度から考えて欲しい

と、云う事でした。

ゴミを減らす事を例にとっても、
方法は1つではないはずです。

そして、義務や使命感ではなく、
続ける為には、楽しんでやる事を伝えました。

確かに義務や使命感は、
動機としては強い意志です。

が、一方で、他者の意見を受容れにくい・・・
そんな側面もあります。

それでは、活動は偏ってしまうでしょう。
実は、バラバラに見えている活動も、
話してみれば、根っこは一緒―


特に環境の諸問題は、そんな気がしています。
だからこそ、声をあげてみる
人の話を聴いてみる
一緒にやってみる
そんなつながりを大事にして欲しいですよね。

子供達はメモを執りながら、
しっかり聴いてくれた様に思います。

そして最後は、質問タイム。
この時間をしっかり取るために、
自分の話は短めに―。
したつもり・・・

ゴミの削減についての質問がありました
いわゆる3Rの話しから、今は5Rって云われてるョ―
なんて話しをしながら、
先ずは自分にできる事をやってみて―
と、答えました。

地球温暖化についても質問がありました
ホッキョクグマの危機の話しをしました。
気候変動は待ったなしの課題。

エネルギーの事や、
自分の生活の見直しなども考えてみよう。
そんな事もお伝えしました。

でも、子供達がイチバン知りたがってたのは、
なんで、タイソンって呼ばれてるの?
って、事でしたスマイル

グーグル先生に聞いてみてびっくり
パンチを打つカッコをした自分でした拳

早速、タブレットでググってくれましたョ照れ

さあ、次回は2組さんの授業をお話しします。
今回は、ここまでスマイル

 







2021/08/23 10:00:00|活動報告
今年の海洋道中アーカイブスV 皆で讃えた遠回り
三十年を超える海洋道中の、
半分以上に関わらせて戴きました。

多くの子ども達の、
大きな成長を間近で感じる事ができるのは、
このうえない幸せだと思っています。

そんな長い歴史の中でも、
決して忘れる事ができないのが、
2015年度のサバイバル踏破でのエピソードです


この年から、
ヘッドカウンセラーに就任させて戴きましたが、
いきなり初年度で、
あの素晴らしい光景を見る事ができるとは、
本当に想定外でした。

各班が順調に踏破を進める中、
ある班のリーダーが、
途中で単純に道を間違えてしまいました。

そのルートは、ベースキャンプに戻るには、
あろうことか最短のコースだったのです。

この班のリーダーは、
この時が初めてのリーダーでした。
途中で間違ってしまった事に気付き、
本部へその旨を連絡して来たそうです。

もし、ショートカットで帰る事になってしまっても、
充分に頑張っていたので、
そのままでも良かったのかもしれません。

が、本人と班のメンバーの強い意志もあって、
本来のコースを歩き切りたい―
と、云う強い願いがあり、
協議の結果、本来のコースに戻すものの、
進んだ距離分は、ベースキャンプに近づける―
と、云う事で、双方で合意しました。

なので、だいぶ遠回りをする事になるので、
帰着も、大幅に遅れる事になる訳です。
大方の予想では、
もう暗い時間になってしまうだろうと・・・

が、遅れた分を取り戻そうと、
全員が必死に歩いていた様です。

一心不乱―
と、云う言葉が適当かどうか分かりませんが、
皆が待つベースキャンプに、ただひたすらに・・・
そういう状況だった様です。

この状況を、先着したリーダーが知り、
子ども達にこう呼びかけました。

遅れているんでは無くて、
自分達より長く歩いて帰って来る―。
だから、全員で彼らを応援しよう!!

と、声を掛けてくれたんです。

「おーい!!」
ふいに頭上から聞こえて来たのは、
この班のメンバー達の声でした。

道の上から、
このベースキャンプを見下ろせる場所で、
手を振っていました。

すると、
「頑張れ〜!!」

「待ってるぞ〜!!」

と、一気に全員のテンションが上がって来ました。

その場所からベースキャンプまでは、
おそらく20〜30分の位置です。
相当に飛ばさないと、挽回できない距離です。

全班のメンバーが出て来て、

「すげ−」と、驚きの声を上げたり、

「もうちょっと、頑張れ・・・」

と、祈るように涙ぐむ子も居たり、
全員が、この班の頑張りを、
無条件で讃えているんです。

そして、いよいよ彼らの歌声が響いて来ると、
最初に声を掛けたリーダーが、
「みんなでアーチを作るぞ!!」と、
みんなを煽ってくれました。
あっと言う間に彼らを迎えるアーチが出来ました。

更に、この班のリーダーやメンバーの
名前(キャンプネーム)を連呼して、最後は、
みんなで拍手して、メンバーを迎え入れたのです。

ゴールの瞬間に起った歓喜の輪を、
自分は絶対に忘れる事ができません。
それがタイトルの、
『皆で讃えた遠回り』の、エピソードです。

一番驚いていたのは、
この遅れてしまった班のメンバーだったと思います。
遅れているのを知っていましたから・・・。

こんなにみんなにゴールを祝ってもらえるとは、
きっと思っていなかったでしょう。

子ども達以上に、
指導者も全員、目をまっ赤に腫らして、
感動の涙を流していました。

自分がこんな風にしたい―
と、リーダー達に、
子ども達に、指導者の全員に、
お願いしていた、体験は子ども達のもの
我々はそれをサポートするだけ―

と、云う望ましい姿が、
目の前で正に繰り広げられていました。

ゴールまでのプロセスには、
一切、指導者からの指示があった訳ではなく、
全てが自発的に起った、そんなシーンでした。

この年以降、更にサバイバル踏破は充実し、
自分達でしっかり目標を立てて、
単にゴールするだけが目的では無く、
一人一人が掛け替えのない友になる事―
を、目指して、チャレンジを続けています。

そして、この道間違いをしてしまったリーダーは、
連続3回リーダーとして子ども達を牽引し、
誰よりも八丈を歩いたリーダーとして、
歴史に、記憶に、名前を刻んでいます!!

今年の海洋道中アーカイブスは、
このエピソードを以て終了します。


やっぱり子ども達の成長は無限だ!!
 







2021/08/21 10:00:00|活動報告
今年の海洋道中アーカイブスU伝えたかった「水」の大切さ
記憶に強烈に残っている、
ヘッドカウンセラー就任以降のエピソードを、
『今年の海洋道中アーカイブス』として、
お話しさせて戴いています。

今日は、最も直近の2019年度のエピソードです。
この年は非常に好天続きで、
プログラムも順調に進んでいました。

台風の影は見えていたものの、
我々のスケジュールを邪魔する事もなく、
無事に最大のイベントである、
『サバイバル踏破』の、日を迎えたのでした。

踏破での指導者の仕事は、
無事に歩いているか―
体調の悪い子はいないか―
などを見極めるパトロールと、
熱中症予防の為にも、給水のサポートです。

一方で子ども達は、
島の方々に声を掛けて戴けるばかりか、
時にジュースや麦茶、良く冷えたスイカに、
島の名産パッションフルーツ・・・etc

はたまたアイスクリームに、
時には新鮮なお刺身まで、
色んな美味しい物を差し入れて下さいます。

ご厚意は有り難く頂戴して、
後日、お礼が出来る様に、可能な限り、
お名前と連絡先を伺う事にしていますが、

本当にさりげなく、
ほいっと渡して行ってしまう方が多く、
お気持ちの半分もお返しできていないのが、
残念ながら実情なのです。

が、本当に島の人たちの、
温かさを感じた子ども達は、
懸命に歩き、踏破をやり遂げる事で、
感謝の思いを返している気がします。

しかし一方で、見方を変えれば、
サバイバル踏破は、美味しい企画―
と、云う側面もあるのかもしれません。

が、やはり炎天下では給水は重要です。
数年前までは敢えて給水を極力抑えて、
自分達で確保しよう―
そんな方向で指導していました。

給水に頼り過ぎると、
逆に給水過多になってしまう傾向も見られたからです。

が、歩く事に集中する余り、
給水できるポイントを通過してしまったり、
水を届ける前に足りなくなってしまったりで、

結果、熱中症を誘発してしまう―
そんな皮肉な状況も起きてしまったので、
必要時に随時給水する―
方向性に戻したタイミングが2019年でした。

しかも、体温を下げる目的もあって、
水に氷を入れて、「冷たい水」を、
渡す事にしました。しかも麦茶です。

なので、水が割と安易に手に入る様になりました。
しかも、ぬるい水じゃなくって、
冷たくて美味しい水です。

加えて、島の方々からのご厚意もあって、
水の大切さへの認識は遠のきました。
これってジレンマですよね。

健康面を重視したら、
環境面での「水」への危惧や、
当たり前ではない「水」の存在についても、
意識が薄れてしまうのは哀しい事です。

そんな中で、
水を美味しそうにゴクゴク飲み干す、
子ども達の姿を間近で見て、
大きな違和感を覚え、
非常に重要な問題提起をした、
ボランティアリーダーがいました。

女性のリーダーでしたが、
彼女は、専門学校で医療事務を専攻し、
社会へ出るための勉強をしている学生でした。

子ども達は、指導者が来ると給水車に集まって、
嬉しそうに手を振り、水を満たしてもらう。
そこまでは、特に問題はない―

が、水筒やペットボトルに残っている、
ぬるくなった水
おいしくない水

を、無造作に道路に撒いて、
捨てる姿を目撃してしまったからからです。
まだ使える水が残っているにも拘わらず・・・

それは彼女の目には、
好ましい姿には、到底思えなかった―。
と、云う事です。

捨てられた水は、
正しく無駄水となった
のですから・・・

そして踏破2日目の朝、
彼女はついにアクションを起こしました。

島の教育委員会の方が、
これから難所にアタックする子ども達のために、
冷たいスポーツ飲料(ペットボトル)を、
差し入れにビバーク地に届けて下さった時です。

彼女は先ず島の担当者に、
丁寧にお礼の言葉を伝えたうえで、

子ども達は既にここで給水し、
水筒は満たされている事を説明し、

お気持ちは嬉しく有り難いが、
そのペットボトルは、今は渡さないで欲しい―
その様に、島の担当者に伝えたのです。

昨日から、たくさん水やご厚意を戴いているが、
彼らは無造作に水を捨てている。

無意識だし、悪気が無い事も分かっているが、
彼らには、水の大切さを伝えなければいけない・・・
と、彼女は言ったそうです。

島の担当の方も随分と驚いたそうですが、
彼女の意志を尊重し、ゴール後のご褒美と云う事で、
ベースキャンプに、
彼女の班の分を届けて下さったのでした。

どうですか皆さん、
あなたは、こんな提言をする事ができますかびっくり

相当の勇気と信念がなければ、
こんな提言は、おそらくできません。

言い方を変えれば、
子ども達の将来を左右する役割を担った事で、
本当に大切な事を伝えるために、
敢えてご厚意を断ったのです。

この話しを聴いて、
自分も、ベースキャンプに残っていた指導者も、
彼女の勇気に感嘆し、
給水を見直さなければいけない―
と、強く思いました。

早速ミーティングを行って、
2日目の給水方法を協議しました。

指導者が話し合って決めた方法は、
以下の通りです。

1、給水自体はそのまま続ける。

2,直接水筒に注ぎいれるのではなく、
 ペットボトルに入れ替えて冷やした状態で渡し、
必要な分だけ使うよう指導する。

3,もし水を捨てる行為を目撃したら口頭で注意し、
残っている水を使い切る様に指導する。


と、云う3点を共有し、給水を再開しました。

数時間後、彼女が引っ張る班を見つけ、
給水をする際、案の定、水を捨てた者がいました。

「ちょっと待て、何で水を捨てたんだ!?」

「だってぬるいし、まずい」

「美味しい水を渡すのが目的では無い。
  脱水を予防するための水だからぬるくても問題ない」

背の高い男子は驚いて、自分を見返しましたが、

「大事な水を無駄にするな―」

そのメッセージを受け取って、
ぬるい水を捨てる行為は、
以降一度たりともありませんでした。

そんなこんなで、
全ての班が無事に帰って来ました。
どの班も、大きな成長の跡が見られました。

そして迎えた2日後の、
ベースキャンプ撤収の日

撤収作業を開始する前に、
あのリーダーの事を、名前を伏せて全員に伝えました。

直ぐにピンと来た子もいましたが、
踏破中の、「ある班の出来事」なので、
初耳、何それみたいな子も、当然いました。

けれど、踏破中に同じ事をしてしまった子は、
きっと、思い当たる節があったでしょう。

改めて、水の大切さにハッとしたに違いありません。
この日も猛烈な暑さになりそうな朝でした。

世界には水が自由にならない地域がたくさんある事、
水がふんだんにあることは当たり前ではない事、
水を廻って戦争が起きてしまう国がある事・・・
だから、改めて我々は水を大事に使う事にした。

今日の給水は時間を決めて一斉に摂ろう―
そう伝えて、30分に1回の飲水タイムを設け、
1時間に1回の休憩をして体温の上昇を抑える―

この様にメリハリを付けると、
驚いたのは作業能率が格段にあがったのです。

午前中いっぱいを撤収時間に充てていましたが、
備品のチェックまで含めても、
11時半には、まっさらな平地に戻ったのです。

一人のリーダーの発言が、
多くの者の気持ちを動かして、
大きな成果に繋がりました。

この様な成長が見られた事も、
海洋道中の大きなレガシーになっていきます。

だからこそ、来年は絶対にやらないと・・・
できっこないをやらなくちゃ!!

​​​​​​写真は、別の年の給水風景です。
2019年は、こんな感じに戻したのです。