2017年度は、海洋道中が始まって30回目の夏でした。 そして、この夏ににボランティアリーダーの、 集大成で望んだ学生が居ました。 2班を率いた、かっちゃんです。
かっちゃんの最初の夏は2009年―。 中1の時に、初めて八丈に来ました。 そして、2015年―。大学生になったかっちゃんは、 ボランティアリーダー(以下VL)として、 海洋道中に戻って来ました。
2015年は、ヘッドカウンセラー自分も、 初めてその重責を担う事となり、 リーダー探しには、本当に苦労をしました。
前年のリーダーが幸い2人残ってくれたのですが、 なかなか残り3名が決まらず、 自分が過去にカウンセラーを務めていた班の中で、 目立たなかったけれども、 懸命に頑張っていた彼の事を思い出し、 依頼の電話をしたのでした。
正直、彼は最初の海洋道中では、 苦い経験をしていました。なかなか班がまとまらず、 サバイバルでも、思い描いていた満足感は、 得られなかった―。と、振り返っていました。
そんな、宙ぶらりんな経験は嫌だ―。 自分がVLになって、素晴らしい体験をしてもらいたい。 そんな強い思いでVLになってくれました。
が、1年目は、痛恨の道間違えをしてしまいました。 見事に歩ききったのですが、悔しさが残りました。
2年目は、途中まで素晴らしいペースだったのですが、 なんと班のメンバーがビバーク地に忘れ物―。 それを、班の総意でみんなで取りに戻りました。 が、八重根でペースダウン。脚が止まってしまったのです。 それでも、歯を食いしばってゴール。 この時、彼のタイムマネージメントを、 指摘した人がいました。
ヘッドカウンセラーの自分は、 彼の勇気を讃え、マネージメントを指摘した方にも、 「だったら、あなたが歩いてみますか!?」 そう返しました。歩いてみなきゃ分からない―。 サバイバル踏破は過酷なのです。 歩いてもいない大人が結果だけで、 ジャッジした姿勢が、 自分にはどうしても納得できませんでした。
しかも彼は、靱帯を前年から痛めていました。 それでも、苦言を敢えて呑み込み、 自分のせいだ―。と、リベンジを誓ったのでした。
そして、30周年の節目となった2017年の夏。 靱帯の傷も癒えて、 満を持してサバイバルに臨んだのです。 班長は1年生でした。 でも、かっちゃんは班長の良さを見事に引き出し、 1番でベースキャンプに戻って来たのです。
あの時のかっちゃんの笑顔は、 子ども達以上に輝いていて、カッコ良かったです。 そして、ベースキャンプでの祝杯は、 情熱の味、パッションフルーツジュースでの乾杯!! 疲れた体にスッと染み込んでいきました。
2015年のかっちゃんの班の班長だった子が、 2019年、VLになって戻って来ました。 あの時の、かっちゃんの姿や姿勢に憧れて、 VLに志願してくれたのです。
かっちゃんが海洋道中に残した功績は、 自分より輝いています。 そして、社会人になった今でも、 我々を支えてくれています。
こうして、大人が若者に刺激され、共に成長し、 海洋道中はこれからも続いていくでしょう。
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