もうちゃんが引っ張る4班は、 順調にビバーク地である『末吉』に、到着していました。 が、班の中では、ある問題が起きていました。
それは、異なる意見の対立でした。 4班の男子は6名いるのですが、 体力もある、身体の大きい子と、 体調不良を訴えた子を含む、 身体が小さくて体力的に心配がある子と、 丁度、半々と云った構成でした。
ビバーク地までは、一気に飛ばして来たものの、 やはり、「キツイ」と、オーバーワークを、 訴える子が増えて来ました。
明日の八丈富士登山まで頑張りたい子と、 全員が納得できないのであれば、 富士山はカットしても、全員で歩こう―。 そう訴える子が対立し、 途中合流した子が、再び体調不良を訴えました。
体力自慢の子達は、 どうしても、コンプリートしたいのですが、 冷静に班の状況を見ると、 やはり無理はさせたくありません。 コンプリートも大切ですが、 それよりももっと大切なことは、 全員が納得して無事に歩き切ることです。
もうちゃんは、そんな状況を踏まえて、 先ずは、メンバー同士で話し合いさせました。 が、意見は平行線をたどっていました。
どちらの意見も尊重すべきですが、 やはり、どうしても大きい子の意見の方が、 ガツンと上から来るので、 小さい子の意見の方は、 消されてしまいがち・・・。 だったそうです。 結局、その夜には結論は出ませんでした。
こうした対立に向き合いながらも、 やはり、最も不安だったのは、 リーダーのもうちゃんだったに違いありません。 果たして、明日この状態で歩き出せるのか、 富士山まで頑張る事が、 果たして、4班にとって最良の結果になるのか、 自問自答を繰り返し、 他のリーダーにもアドバイスを求め、 ある決断をしました。 それは、明日の富士山登山はカットする事でした。
明朝、もう一度、全員で話をさせてみて、 結論に至らなければ、登山断念―。
そして、そうした場合の、 代替ルートを提案して欲しいと云う事でした。
翌朝、始まった班内での話し合いも、 平行線を辿りながらも、ギリギリまで話をさせ、 ついに、もうちゃんが決断を伝えました。
昨日まで、ダントツ一番だった4班のビバーク地に、 後に続いていた、3班、2班が追いついていました。
気が付けば、日は既に、高く上がっていました。 この記事には、あえて写真は貼りません。
もうちゃんの心の動きや、 子ども達の話し合いの光景を、 想像しながら読んで戴けたら嬉しいです。
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