三十年を超える海洋道中の、 半分以上に関わらせて戴きました。
多くの子ども達の、 大きな成長を間近で感じる事ができるのは、 このうえない幸せだと思っています。
そんな長い歴史の中でも、 決して忘れる事ができないのが、 2015年度のサバイバル踏破でのエピソードです。
この年から、 ヘッドカウンセラーに就任させて戴きましたが、 いきなり初年度で、 あの素晴らしい光景を見る事ができるとは、 本当に想定外でした。
各班が順調に踏破を進める中、 ある班のリーダーが、 途中で単純に道を間違えてしまいました。
そのルートは、ベースキャンプに戻るには、 あろうことか最短のコースだったのです。
この班のリーダーは、 この時が初めてのリーダーでした。 途中で間違ってしまった事に気付き、 本部へその旨を連絡して来たそうです。
もし、ショートカットで帰る事になってしまっても、 充分に頑張っていたので、 そのままでも良かったのかもしれません。
が、本人と班のメンバーの強い意志もあって、 本来のコースを歩き切りたい― と、云う強い願いがあり、 協議の結果、本来のコースに戻すものの、 進んだ距離分は、ベースキャンプに近づける― と、云う事で、双方で合意しました。
なので、だいぶ遠回りをする事になるので、 帰着も、大幅に遅れる事になる訳です。 大方の予想では、 もう暗い時間になってしまうだろうと・・・
が、遅れた分を取り戻そうと、 全員が必死に歩いていた様です。
一心不乱― と、云う言葉が適当かどうか分かりませんが、 皆が待つベースキャンプに、ただひたすらに・・・ そういう状況だった様です。
この状況を、先着したリーダーが知り、 子ども達にこう呼びかけました。
遅れているんでは無くて、 自分達より長く歩いて帰って来る―。 だから、全員で彼らを応援しよう!! と、声を掛けてくれたんです。
「おーい!!」 ふいに頭上から聞こえて来たのは、 この班のメンバー達の声でした。
道の上から、 このベースキャンプを見下ろせる場所で、 手を振っていました。
すると、 「頑張れ〜!!」
「待ってるぞ〜!!」
と、一気に全員のテンションが上がって来ました。
その場所からベースキャンプまでは、 おそらく20〜30分の位置です。 相当に飛ばさないと、挽回できない距離です。
全班のメンバーが出て来て、
「すげ−」と、驚きの声を上げたり、
「もうちょっと、頑張れ・・・」
と、祈るように涙ぐむ子も居たり、 全員が、この班の頑張りを、 無条件で讃えているんです。
そして、いよいよ彼らの歌声が響いて来ると、 最初に声を掛けたリーダーが、 「みんなでアーチを作るぞ!!」と、 みんなを煽ってくれました。 あっと言う間に彼らを迎えるアーチが出来ました。
更に、この班のリーダーやメンバーの 名前(キャンプネーム)を連呼して、最後は、 みんなで拍手して、メンバーを迎え入れたのです。
ゴールの瞬間に起った歓喜の輪を、 自分は絶対に忘れる事ができません。 それがタイトルの、 『皆で讃えた遠回り』の、エピソードです。
一番驚いていたのは、 この遅れてしまった班のメンバーだったと思います。 遅れているのを知っていましたから・・・。
こんなにみんなにゴールを祝ってもらえるとは、 きっと思っていなかったでしょう。
子ども達以上に、 指導者も全員、目をまっ赤に腫らして、 感動の涙を流していました。
自分がこんな風にしたい― と、リーダー達に、 子ども達に、指導者の全員に、 お願いしていた、体験は子ども達のもの 我々はそれをサポートするだけ―
と、云う望ましい姿が、 目の前で正に繰り広げられていました。
ゴールまでのプロセスには、 一切、指導者からの指示があった訳ではなく、 全てが自発的に起った、そんなシーンでした。
この年以降、更にサバイバル踏破は充実し、 自分達でしっかり目標を立てて、 単にゴールするだけが目的では無く、 一人一人が掛け替えのない友になる事― を、目指して、チャレンジを続けています。
そして、この道間違いをしてしまったリーダーは、 連続3回リーダーとして子ども達を牽引し、 誰よりも八丈を歩いたリーダーとして、 歴史に、記憶に、名前を刻んでいます!!
今年の海洋道中アーカイブスは、 このエピソードを以て終了します。
やっぱり子ども達の成長は無限だ!! |