あいつ―。と、表現しているのは、 台風の事で、海洋道中は、 季節的にも仕方がないことではありますが、 毎年、色んな「あいつ」に、悩まされて来ました。
去年は、台風5号―。 一度、西に遠ざかっていたあいつは、 なんの気まぐれか、わざわざ引き返して来て、 我々を振り回しました。
そして、今年のあいつは、 「台風13号」です。 12号が通り過ぎて、暫くは来ないだろう・・・ そう踏んでいたので、 まさかこのタイミングで、 足を速めるとは、憎らしい限りです。
夜、島の担当者が、 現状の位置と、進路予報図を持って、 駆け付けてくれました。
所見の見込みでは、 下手をすると、7日に接近の見込みで、 6日に帰ってしまうか、 7日の朝に帰るか・・・・ 船で帰るなら、この選択しかないだろう。
おそらく8日は船が出ないと思われ、 飛行機で帰るとしても、 9日か10日になるだろう。 しかも、全員分のチケットは、 取れないかもしれない。
そんな、かなり切迫した状況でした。 しかし、サバイバル踏破は始まってしまい、 明日は、子ども達がここを目指して、 帰って来るのです。
明日の撤収は、かなり難しいし、 なんとかゴールは切らせてあげたい―。 今の状況では、7日の船は、おそらく来るだろう。 それにかけてみないか・・・
俄かには、台風接近も感じさせない星空の下、 最後のパトロールに行っていた、 指導者が戻って直ぐ、 緊急のミーティングが始まりました。
様々なケースをシュミレートしながら、 検討しましたが、やはり、 サバイバルのゴールだけは切らせてあげたい―。 その一点に絞って、 明日の朝、再度事務局で検討して、 申し送る事になりました。
たった1日、足が止まってくれさえすれば、 全日程が完遂できそうなのに、 あいつはあろうことか、 この八丈を、ロックオンした様なのです。
今朝、釣りを希望している子が、 是非やってみたいと言って、自分に託した、 島の竹で作る竿用の竹を3本、 切り出し他ばかり…。 果たして釣りはできるのか・・・
とにかく明日・・・ 眠れない夜が更けていきました。
とりあえず、どうなってもいいように、 自分の荷物を、まとめ始めていました。
でも、BCでこの様な対応が始まった事も、 まだ、子ども達は知りません。 |